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ヘタリア大帝国

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TURN53 ハワイの戦いその七

「彼女なら一撃で消し飛ばせるぞ」
「そうね。じゃあ」
「よし、これで決まりだな」
 こうしてイザベラがコロニーを攻撃しようとその艦隊を向ける。だがここで再び。
 エルミー達は攻撃を放ちそれでイザベラの艦隊を撃った。特に彼女が乗るアリゾナは田中が操る艦の魚雷の直撃を受けた。
「主砲全て沈黙しました!」
「エンジンも大破です!」
 非常灯で照らされる艦橋の中に悲鳴めいた報告があがる。
「ダメージコントロールが追いつきません!」
「このままでは!」
「くっ、こうなっては」
 イザベラは相次ぐ報告に苦渋の決断を下した。そうするしかなかった。
「総員退艦、止むを得ない」
「わかりました。それでは」
「今は」
 乗員達も頷く。イザベラは止むを得なくアリゾナを退いた。アリゾナは大破した姿を戦場に晒すことになった。
 キャロルはそのイザベラ達がハワイ本星に脱出用の艇で戻るのを見ながら忌々しげに呟いた。
「何よ、あのコロニーを潰そうにも」
「そこを狙われてるよ」
 フィリピンが言う。
「間違いなくね」
「かといってもコロニーを潰さない訳にはいかないし」
「ここはどうしたものかな」
「先陣の指揮系統も滅茶苦茶になりそうだし」
 指揮官として頼りにしていたイザベラがいなくなった、それでだった。
「まずくなってきたわね」
「先陣は僕が行こうか?」
 フィリピンがその指揮に名乗り出る。
「イザベラの穴をそれで」
「そうね。お願いできるかしら」
「うん、それじゃあね」
 フィリピンが前線に出てイザベラの代わりに指揮にあたろうとする。彼は全速力で前線に向かう。しかしここで。
 太平洋軍が戦場に姿を現した。彼等は既にだった。
「よし、それではだ」
「はい、今からですね」
「全艦載機を発艦させますか」
「そうする。手筈通りな」
 コロニーで惑わせ潜水艦で狙撃するだけではなかった。そのうえでだ。
 既に発艦用意をさせている艦載機を戦場に到着すると同時に放つ。東郷がハワイ戦で考えた作戦はこうしたものだった。
 己の隣にいる秋山、そしてモニターにいる日本に対してこう言うのだった。
「攻めよう」
「まさに奇襲ですね」
 秋山が強い声で言う。
「緒戦以上の」
「そうだな。しかしな」
「それでもですね」
「ガメリカ軍にはこうでもしないと勝てない」
 これが現実だった。そして東郷はその現実を打破するこの作戦を採用したのだ。
「潜水艦、空母にだ」
「コロニーですね」
「あのコロニーは何かというとだ」
「トロイの木馬ですね」
 秋山はまさにそれだと言う。
「それになりますね」
「そうだ。ただ中にあるのはだ」
「何もないですね」
「ただのダミーだ。しかしダミーも効果的に使えばだ」
「戦局を決定し得るものになりますね」
「兵は軌道だ」
 東郷はここでも言う。
「敵の虚を衝けばだ」
「そこから攻められますね」
「既に敵の陣形は乱れ指揮系統にも混乱が生じている」
 全ては先に放った潜水艦艦隊の功だ。
「そしてそこにだ」
「艦載機を放ち」
「一気にダメージを与える、いいな」
「そして先に狙うのもですね」
「敵の機動部隊だ」
 先陣ではなく彼等だというのだ。
 
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