QUIZ ON THE DEAD 〜クイズ・オン・ザ・デッド〜
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第1章 ゲーム開始
THE QUIZ 1
前書き
パラレル・ワールド。
……と言われても、皆さんにはピンと来ないだろう。
パラレル・ワールドとは、皆さんが住んでいるのとは違う、もう1つの世界。そこにはちゃんと、自然があり、都会があり、人間があり、地球があり、星々があり、太陽系があり、宇宙がある。つまりパラレル・ワールドは、この世界と全く同じと言う事だ。
この物語は、パラレル・ワールドで起こった出来事を小説にした実話だ。
それでは、物語に入ろう。
『皆様、お待たせしました! 今回の“QUIZ ON THE DEAD”参加者抽選の結果を発表致します!』
そうテレビの中の女性アナウンサーが元気良く言うと、横に人の名前が書かれたボードが現れた。そして女性アナウンサーは、そのボードの文字をまた元気良く読み始めた。
史乃悠介は、ソファーに座ってそれを眺めていた。その横には悠介の母・美和子が夕食の準備をしている。窓の外はすっかり薄暗くなって来た。
悠介は、都内の市立高校に通うごく平凡な高校2年生である。成績は中の上、スポーツが得意。記憶力が良いと言う特徴がある、何処にでも居るような人間。だがこんな平凡な高校生が、あんなデス・ゲームに巻き込まれるなんて、誰一人予想しなかった。
『今回の参加者は、北海道在住の尾田三郎さん! 秋田県在住の万城目隆さん! 東京都在住の史乃悠介さん!』
「な……何だって!!」
悠介はソファーから飛び上がった。そして立ち尽くしたまま、手の平に大量の汗をかいた。すると、先程の叫び声に驚いたのか、母・美和子が台所からこちらにやって来た。
「どうしたの!? ……まさかアンタ」
母も、悠介がテレビを観ていた事にはすぐ気付いたようだ。そしてこの時間帯が、“QUIZ ON THE DEAD”の参加者発表の時間である事にも。
「QUIZ ON THE DEADに参加しなきゃならなくなったの!?」
「……ああ。でも今更どうにもならないんだ、これは政府で決められた事なんだから」
母は泣き崩れた。だが悠介には、どうする事も出来なかった。今悠介は、自分が死ぬかも知れない崖っぷちに立たされているのだ。
このパラレル・ワールドの日本では、毎週“QUIZ ON THE DEAD”と言うクイズ番組が行われる。それだけならまだ普通だ。それに不正解をしたら、“死んでしまう”事が無ければ……。
そう。この番組は、金持ちが政府に大量の金を払って作っているとんでもない娯楽番組だ。参加者は日本全国から理不尽に選ばれ、1週間に1回行われる番組に参加しなければならない。これで不正解を3回連続で叩き出すと、その参加者には“死”が待っている。
だがクイズに正解し続け、生き残れば、一生働いても手に入れられないようなとんでもない大金を手に入れる事が出来る。しかし優勝者は1人だけなので、クイズ番組は1人が残るまで続けられるのだ。悠介はそれに参加する事になってしまったのだった。
「どうにかならないのかしら?」
と、母が泣きながら言った。だがこればかりはどうしようもない事なのだ。投資している金持ち達や、政府関係者等は除外されているので、参加の可能性が大きく高まるのだ。
「ああ……だがこうなりゃ生き残るまでさ。バッド・エンドには絶対にさせないから、心配掛けないでくれ、母さん。俺は大丈夫だ」
そうは言ったモノの、悠介は少し不安だった。参加者は全部で10人なので、確率は10分の1だ。自分より頭の良い奴はその中に幾らでも居るだろう。スポーツ対決なら誰にもひけをとらないと自負しているのだが、対決内容が“クイズ”だからな……。
『以上発表されました参加者の皆様は、今度の月曜日、✖✖テレビ局までおこし下さい。それでは視聴者の皆様は、今度の月曜日お送りされる“QUIZ ON THE DEAD”をお楽しみ下さい。それでは失礼させて頂きます』
そう言って、女性アナウンサーの声は途切れ、画面は切り替わった……。
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