アマゾンのジャガー
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第二章
「溺れてる子を心配そうに見ているな」
「どうなるかってな」
「じゃあな」
「ああ、通りがかったのも縁だしな」
二人で話してだった。
ラビと友人は小舟を溺れているジャガーの子供のところにやってだ、その子を掴んでまずは小舟の上に上げた。
「よし、家族のところに戻してやるぞ」
「ガウ」
子供は自分を抱くラビに驚いた顔で見ていた、だがラビと友人は雄のその子を家族のところにやった。すると。
ジャガー達は暫しラビ達をしっと見てそれから鳴いた。
「ガウ」
「ガウガウ」
「お礼言ってるみたいだな」
「そうだな」
二人はこう解釈した。
「ジャガーもお礼言うんだな」
「悪い気はしないな」
笑顔で話した、そして密林の中に消える彼等を見送った。
後日彼等は街に来た生物学者にそのことを話したが。
「いいことをされましたね」
「学者さんから見てもか」
「そうなんだな」
「はい、ジャガーは個体数が減少していまして」
それでというのだ。
「絶滅危惧種になっています」
「へえ、そうなんだな」
「ジャガーがか」
「はい、それでです」
学者は真面目な顔で話した。
「助けたということは」
「その分減らなくてか」
「いいことなんだな」
「はい、本当にいいことをされましたね」
学者は二人に微笑んで話した。
「まことに」
「そうか、それじゃあな」
「このことを素直に喜んでおくな」
「そうして下さい」
「ああ、じゃあ今日も頑張るか」
「仕事やろうな」
漁師のそれをだ、こう話してだった。
ラビは友人と共に仕事にかかった、この日の漁はかなりの大漁で彼は友人とそのことを喜んだ。そしてそれはジャガーを助けたことへの神様のご褒美と思ったのだった。
アマゾンのジャガー 完
202・7・24
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