子供の花火
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第二章
大学生になった沙織は野外オリエンテーションの活動をする様になっていた、母親そっくりの外見に育ち日々学業とアルバイトとその活動に汗を流していたが。
キャンプの時だ、彼女は先輩の堀内志保に言われた、赤髪をポニーテールにしたスタイルのいい長身ですらりとした面長の整った顔立ちである。
「花火出すわよ」
「夜はですね」
「皆好きだからね」
「子供さん達が」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「出すわよ」
「今夜ここはお祭りで」
沙織はそれでと話した。
「打ち上げ花火もありますね」
「そうでしょ、けれどね」
「手に持つ花火もですか」
「そちらも出してね」
そしてというのだ。
「そのうえでね」
「両方楽しむんですね」
「子供さん達がね」
「そうしてもらいますね」
「じゃあいいわね」
志保は沙織に言った。
「どちらもね」
「はい、出しましょう」
「そうしましょう」
こう話してそしてだった。
沙織は他に活動している人達と共に手に持つ花火を出した、そうしてそれに火を点けて子供達に持たせてだった。
彼等に楽しませた、沙織は彼等の笑顔を見て志保に言った。
「私もよくです」
「この花火を楽しんだのね」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「今はですね」
「活動に参加している子供さん達がよ」
「楽しんでいますね」
「そう、こうした花火はね」
それはというのだ。
「こうしてね」
「子供さん達が楽しむものですね」
「夏にね」
「この季節ですね、今は夏でなくても」
沙織は子供の頃母に言われそしてスキー場で見たものを話した。
「冬でもスキー場で花火は見られますね」
「打ち上げ花火ね」
「夏祭りもで。野球場でも見られて」
「あちらの花火は今も色々見られるわね」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「こうした花火はやっぱり夏で」
「子供さん達が楽しむね」
「そうした花火ですね。そして」
沙織は言葉を続けた。
「こうした花火もいいものですね」
「そうよね。本当に」
「そう思います」
ここで打ち上げ花火も上がった、その花火も見て笑顔になったがそれと共に子供達の花火も見た。そして自然と笑顔になったのだった。
子供の花火 完
2025・7・19
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