そっくりの孫娘

　　　　　　　　　　　　　　　　そっくりの孫娘
　高校生の水上利冴は一四五位の背で童顔で黒いボブヘアの右を髷にしている。いつもにこにことしていて優しい性格である。
　部活は柔道部で家も柔道の道場を開いている。二段でかなりの強さだ。
　その利冴がだ、ある日部活の同級生の立花優一七〇程の背で顎がやや前に出たきらきらした黒い目で黒髪をロングヘアにした顔立ちもスタイルも整っている彼女に言われた。
「利冴ちゃんのお家柔道の道場よね」
「ええ、女の子はお祖母ちゃんが先生をしてるの」　
　利冴は学校で優に笑顔で答えた、濃紺ノブレザーに赤いリボンと白いブラウスそれにグレーのミニスカートという制服だ。
「男の子はお祖父ちゃんが教えててね」
「そうなのね」
「お父さんは警察官でお父さんも柔道していて」
「柔道一家ね」
「そうなの」
「よかったらね」
　ここまで聞いてだ、優は利冴に言った。
「一度利冴ちゃんの道場に行っていい？」
「そこで稽古したいのね」
「うん、私家の近所に柔道の道場なくて」　
　それでというのだ。
「部活しか知らないから」
「それでなのね」
「道場の柔道も知りたいと思って」
「基本部活と同じだけれど」
「柔道は柔道だから」
「それでも違いがあるわね」　
　利冴自身もこのことを認めた。
「確かに」
「それを実際に知りたくて。いいかしら」
「うん、今度来て」
　利冴はそれならと応えた、こうしてだった。
　優は利冴の家の道場に行って稽古をさせてもらうことになった、休日の部活が終わってから利冴についていってだった。
　彼女の家に行くと柔道の道場があるだけにだった。
　大きな日本の家で道場があり。
　そこに入るとだ、そこには。
「えっ、利冴ちゃんが二人！？」
「違うからね」
　目の前にいる柔道着姿の利冴そっくりの人を見て驚く優に制服姿の本人が言ってきた。
「お祖母ちゃんよ」
「はじめまして、祖母の楓水です」
　利冴そっくりの人が微笑んで言ってきた。
「七十になります」
「七十ですか」
「はい、今年」
「全然見えません」
　驚きを隠せないまま言うばかりだった。