コネ入社なので
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第二章
「やっぱり」
「だからね」
それでというのだ。
「謙虚にね、そしてお仕事は真面目に」
「そうしないとな」
「色々勉強しなさい」
「コネ入社ってことからな」
こう叔母に応えてだった。
鏡太郎は働いていった、仕事は元々アルバイトが趣味だったこともあり真面目で礼儀作法も備えていた、それでだった。
的確に働いていった、コネ入社ということをわかっていたので身内の評判を落とさないそれにそうした立場であることを弁えてだった。
謙虚でいた、すると会社での評判も悪くなく。
「真面目で謙虚だと言われてるな」
「そうなんだな」
鏡太郎は休日身内の集まりの後で正美に言われて応えた。
「俺も」
「ええ、ただ何となく何処かの大学に行くよりいいでしょ」
「真面目に働く方がな」
「それで大学はね」
正美はあらためてそちらの話をした。
「どうするの?」
「ちょっと会社休職して」
そしてとだ、鏡太郎は正美に答えた。
「四年制の大学行くよ」
「そうするのね」
「そうしていいよな、学費分はこれまで働いたのあるし」
「生活費はどうするの?」
「家から通えって親言ってるよ」
「じゃあ大丈夫ね」
「学費も出すって親言ってるけれどそれ位俺が出すし」
そうするからだというのだ。
「通うよ、受験勉強してから」
「頑張りなさいね、働いてそうした考えを持つなら」
正美は鏡太郎に微笑んで言った、二人共身内の集まりの後だがしっかりした話をしたので会社に入る時と変わらないスーツ姿だ。正美のスカートは膝丈でいつも通りだ。
「大学に行ってもしっかり勉強出来るわよ」
「何となく行くよりもか」
「そうよ、それでコネ入社の意味もわかったわね」
「ああ、じゃあ大学卒業したら復職するけれど」
「それからもお願いね」
「こっちこそな」
こうした話をしてだった。
鏡太郎は仕事を休職して県内の評判のいい大学に入学して学んだ、卒業してから復職するとさらに成長したと評判になった。そして結婚し家庭を持ち子供が大きくなる頃には正美と共に一族が経営するグループの中で重きを為す様にもなったのだった。
コネ入社なので 完
2025・7・16
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