殴る女とは
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第一章
殴る女とは
実は女性も暴力を振るう、その為DVは性別関係ない問題であるが。
主婦で在宅ワークもしている紀藤明星は赤がかった癖のある短い髪の毛でやや面長の顔に大きな整った目と小さな唇を持つ背の高いスタイルのいい彼女は自宅のテレビでその話を視てから言うのだった。
「男女問わず暴力は最低よ」
「殴ったり蹴ったりはだよな」
夫でサラリーマンの正太郎丸い大きな目と広い唇を持ち眉が太い真ん中で分けた癖のある黒髪を持つ背の高い痩せた彼が台所の冷蔵庫から牛乳を出して飲みながら応えてきた。二人共今はラフな部屋着姿だ。
「最低だよな」
「そうよ、どんな理由でもね」
明星はさらに言った。
「暴力は駄目よ」
「殴ったり蹴ったり罵ったりな」
「そういうのは駄目よ」
「けれどお前は」
夫は妻に牛ニュが入ったコップを差し出しつつ言った。
「殴るよな」
「ええ」
妻も否定しなかった。
「それも全力でね」
「それはいいんだな」
「いいのよ、あっちは」
夫から牛乳を受け取ってお礼を述べつつ言った。
「別に」
「そうなんだな」
「今日も殴ってきたし」
「明日もだな」
「殴って来るわ」
「暴力は最低でもか」
「いいのよ」
こう言って二人で暴力反対の話もした、そして翌日朝に食事の後で夫を仕事に送り出してから家事をやってだった。
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