ドリトル先生とサーカスの象
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四幕その十一
「とても悲しい気持ちになって」
「忘れられなかったですね」
「ずっと。そしてです」
「太郎が生まれた時にですか」
「この話を思い出しまして」
そうしてというのです。
「名付けました」
「左様でしたね」
「まことにです」
団長さんは先生とテーブルを囲んで座って先生が淹れてくれたミルクティーをいただきながらお話をします。
「ふとでしたが」
「それでもですね」
「あの子はその太郎の生まれ変わりとです」
「思われてですか」
「名付けました」
「そうでしたか」
「平和でないとです」
団長さんは心から言いました。
「動物園もやっていけないですしね」
「その通りですね」
「そしてサーカス団もです」
「やはり平和でないと」
「やっていけないです」
そうだというのです。
「サーカスはショーで娯楽なので」
「戦争になると全てが戦争に使われて」
「娯楽がなくなりますね」
「真っ先にです」
先生は答えました。
「なくなります」
「そうです、ですから」
「サーカスもですね」
「平和が何よりです」
「全くですね」
「自衛隊も軍隊も嫌いではないですが」
それでもというのです。
「自衛官の人達も平和なら」
「戦争に行かないで済みますから」
「一番いいですね」
「そうです、自衛官や軍人さん達にとってもです」
先生はまさにと答えました。
「平和がです」
「第一ですね」
「はい」
まさにというのです。
「何といいましても」
「そうですね」
「貿易をするにしましても」
「平和でないとですね」
「貿易も安心して出来ません」
「戦争に巻き込まれたら」
「とてもです」
それこそというのです。
「貿易も他のビジネスもです」
「安心して出来ないですね」
「とても。実は資本主義はです」
「平和が一番ですね」
「貿易やビジネスで成り立っていますから」
そうした経済システムだからだというのです。
ページ上へ戻る