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ドリトル先生とサーカスの象

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第四幕その七

「その間にはかなりのものがあるね」
「そうだね」
「じゃあその間のものを考えよう」
「悪いことは出来るだけ減らしていこう」
「そうしていきましょう」
「是非ね」
 まさにと言う先生でした。
「そうしていこうね」
「うん、是非ね」
「日本でもね」
「先生頑張ってね」
「僕達はいつも先生と一緒にいるから」
「先生を全力でサポートするからね」
「宜しくね」 
 笑顔で応える先生でした、そしてです。
 先生は皆とさらにお話をしてです、またサーカス団に行って太郎とお話をしました。ここで先生は太郎に尋ねました。
「君の太郎という名前はね」
「いい名前だよね」
「うん、団長さんが言われるにはね」
「あの人が名付けてくれたんだ」
「そうだね、実は悲しいお話もあるんだ」 
 嬉しそうに言う太郎にお話しました。
「戦争の時にね」
「戦争?」
「日本はずっと戦争とは直接関わっていないけれどね」
「僕が生まれるずっと前に戦争したね」 
 太郎は言いました。
「そうだね、お父さんとお母さんが生まれる前でね」
「そう、かなり昔だよ」
「そうだよね」
「二十世紀の中頃でね」
 戦争があったのはです。
「第二次世界大戦だよ」
「物凄い戦争だったね」
「そう、僕の祖国も参加してね」
「イギリスだね」
「世界の多くの国が敵味方に分かれて戦って」
「日本もその中にあったね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「戦争をしていると何もかもがなくなっていって」
「使っていくからだね」
「物凄い勢いでね、何でも武器に使って戦場に送って」
「なくなっていくんだね」
「食べものもね」 
 これもというのです。
「なくなっていってね」
「食べものもなんだ」
「日本もそうなって」
 そしてというのです。
「動物園でもだよ」
「食べものがなくなったんだ」
「人間も食べるのに苦労する状況になっていたから」
「動物園でもなんだ」
「そう、そしてね」
 その結果というのです。
「動物園の皆もそこにいると食べるから」
「まさか」
「そのまさかだよ、口減らしでね」
 それでとです、先生は悲しいお顔でお話しました。
「お薬で安らかに死なせたり食べものを与えない様にして」
「死なせられたんだ」
「その中に象もいて」
「僕の名前だった象もなんだ」
「東京の上野動物園のお話でね」
「僕はその太郎って象の名前を受け継いでいるんだ」
「もう二度と戦争になって欲しくない」
 先生は太郎に切実なお顔で言いました。
「生まれた君を見た時すぐにその太郎のことを思い出して」
「それでなんだ」
「君を太郎の生まれ変わりかも知れないと思ってね」
 それでというのです。 
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