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サンドマン

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第三章

「これを用いる」
「どうするのだ」
「こうするのだ」
 老人の枕元に来てだった。
 両手でハンマーを思いきり振り被った、そしてその額にだ。
 ハンマーを振り下ろした、その一撃を浴びせたのだった。
 凄まじい衝撃音が響いた、大木が倒れた様だった。その一撃を受けるとだった。
 老人は気を失った、そうしてだった。
「寝たぞ」
「無理矢理寝かせたな」
「だから最後の手段だ」
 こう言うのだった。
「サンドマンというわしが木のハンマーを使うのだからな」
「それも殴って気絶させてか」
「眠らせるのだからな」
 そうするからだというのだ。
「サンドマンとしては邪道のな」
「最後の手段か」
「これではウッドマンだな」
「確かにな」
 レプラホーンもそれはと頷いた。
「そうなるな」
「だからな、それでだ」
「最後の手段だったな」
「そうだった、しかしこれで眠らぬ者はない」
「殴ればか」
「必ずな」
 自信を以ての言葉だった。
「そうなる、しかしこんな奴はそうはいない」
「ハンマーで眠らせるだけのか」
「この爺さんどうしたんだ」
「何でも色々悩みがあるらしいな」
 レプラホーンはサンドマンに話した。
「家のこと、仕事のこと、健康のことでな」
「そうなのか」
「息子夫婦と折り合いが悪くて仕事は最近不景気でな」
「それは大変だな」
「靴も必要だから暮らしていけているが」
「苦しいか」
「しかも神経痛でな」
 健康の問題はそれだった。
「何かと悩みがあってな」
「それで休むだけになっているか」
「そうだった、しかしこれで寝られる」
「寝るとかえって悩みが癒される」
「ではこれでましになるな」
「幾分な、後はブラウニーを呼んでな」
 この妖精をというのだ。
「幸せが訪れる様にするか」
「そうするか」
「ああ、これからはな」
 こうした話をしてサンドマンは今はレプラホーンと共に老人の枕元から姿を消した、そして友人であるブラウニーに話してだった。
 そのうえで老人に幸せが訪れる様にした、息子夫婦と和解して幾分景気がよくなり神経痛はかなりましになった、すると眠れる様になり彼もこれでよしと頷いたのだった。


サンドマン   完


                   2025・3・15 
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