コールドラブ
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第三章
「いいことにはならない、意地の悪いこともされるだろう」
「俺がそうされたみたいに」
「だから交代してもらった、気にすることはない」
「そうですか」
「人の心を傷付けて笑って反省しない輩とは仕事をするものではない」
こう言って話を終えた、夏川は上司に心から頭を下げた。
そしてだ、その後で冬木に話した。
「よかったよ、本当に」
「部長立派だな」
「ああ、俺もすっきりしたよ」
冬木に一緒に食堂でカツ丼を食べつつ話した。
「本当にな」
「なによりだな」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「やっぱり俺は恋愛はいいな」
「リアルのそれはか」
「部長には助けてもらったけれどな」
それでもというのだ。
「もうな」
「高校時代で懲りたか」
「ああ」
心からの言葉だった。
「もうな」
「あんなことはか」
「二度とな」
それこそというのだ。
「受けたくないからな」
「振られて周りに言われて嗤われることはか」
「だからな、二次元で充分だよ」
「そうなんだな」
「二次元には心がなくてな」
「冷たいとかか」
「バーチャルだの言われてもな」
それでもというのだ。
「俺はそっちでいいさ」
「そうなんだな」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「このままでいいさ」
「二次元で充分か」
「それは変わらないさ、周りに言われてもな」
「変わらないか」
「ああ、リアルなんて御免だ」
そちらの恋愛はというのだ。
「二度とするか、このままな」
「二次元に生きるんだな」
「今度抱き枕買うよ」
「本当にその娘と一緒にいるんだな」
「ずっとな、それでいいさ」
こう言ってだった。
撫川は二次元キャラとの愛に生きていった、上司のお陰で過去のことはすっきりした。だがトラウマはそのまま残り。
リアルの恋愛ではなくそちらを選んだ、そして彼は幸せだとずっと笑顔で言った。わかる者にはそこに真の恋愛を見て納得した。
コールドラブ 完
2025・2・13
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