コールドラブ
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第一章
コールドラブ
誰が恋愛なんてするか、サラリーマンの夏川友樹はいつもこう言っていた、茶色がかった癖のある髪できりっとした目と細いはっきりした眉を持っている。色白で顎はすっきりしていて一七四位の背ですらりとしている。
彼はかつて酷い失恋をした、それで言うのだ。
「振られて振った女がそのこと言い回ってな」
「学校中に言われてだな」
「ああ、高校の時でな」
職場の同僚冬木大作に話した。冬木は一八〇近いで筋肉質で穏やかな整った顔で眉はしっかりしている。黒髪はスポーツ刈りだ。
「三年間ずっと言われてな」
「辛かったからか」
「二度とだよ」
強い声で言った。
「誰かを好きになってな」
「付き合うことはないか」
「あんな目に遭う位なら」
それならというのだ。
「二次元だよ」
「そっちでいいか」
「二次元だと振ったりしないだろ」
冬木に言った、二人で大阪の日本橋のそうした店と店の間を歩きつつ話している。仕事帰りに寄っているのだ。
「だからいいんだよ」
「トラウマになってるんだな」
「否定しないさ」
夏川自身もだ。
「だからもうな」
「リアルの女の子はいいか」
「ラブレター目の前で破られてそれだからな」
「また酷い女だな」
「リアルの女なんてそうだろ」
忌々し気にこうも言った。
「だからもうな」
「二度とだな」
「告白も付き合いもしないさ」
こう言って二次元のお気に入りキャラ自分の嫁と言っているキャラのグッズを買って家に帰った。彼は兎に角だった。
現実の女性を遠ざけた、そして暮らしていてだった。
合コンの話にも興味がなかった、そしてこうも言った。
「告白されるなんてないし若しあってもな」
「断るんだな」
「嘘告白だってあるし大体付き合ってもな」
冬木にここでも話した。
「裏切られることもあるだろ」
「そんな奴ばかりでもないだろ」
「それでも嫌だ」
有無を言わせぬ口調だった。
「俺はな」
「だから絶対にか」
「ああ、何があっても付き合うか」
こう言って関りすら持とうとせずだった。
リアルの女性とは付き合わず高校時代の同級生の誰とも失恋のことを言われたことを思い出すので付き合わずだった。
二次元のキャラに心を向けていた、その中で仕事の取引でだった。
二人の男女と出会った、すると彼はすぐに上司に二人の目の前で言った。
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