ドリトル先生とサーカスの象
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第四幕その六
「同じだよ」
「そんな歳の象に酷い調教をしたら」
「ケニーに対してしたみたいなことは」
「絶対に許されないね」
「そう言うしかないね」
「そうした調教がなくなる」
先生はさらに言いました。
「そうなればね」
「本当にいいね」
「世の中ね」
「そうなって欲しいね」
「減っているけれど」
それでもというのです。
「これからはね」
「もっと減らさないとね」
「今以上に」
「そうしないとね」
「残念だけれど完全にはなくならないよ」
先生は俯いて悲しいお顔になって言いました。
「こうしたことはね」
「そうだよね」
「本当に残念だけれどね」
「世の中悪い人はいなくならないから」
「どうしても悪い人がいてね」
「悪い人がいるから」
「人の世で悪いことはなくならないから」
だからだというのです。
「どうしてもね」
「こうしたこともなくならないね」
「虐待も」
「人間に対してもそうだし」
「生きものに対してもね」
「天国でもないとね」
それこそというのです。
「悪いことが完全にないなんてね」
「ないね」
「人の世ではね」
「どうしてもなるね」
「完全にはなくならないわ」
「このことは仕方がないよ、人はまずは白紙でも」
先生はこんなことも言いました。
「生まれた時はね」
「何も知らなくてね」
「それから知っていくんだよね」
「多くのことを経験して学んで」
「そのうえで」
「そして善悪を知っていって」
そうしてというのです。
「悪い方に傾く人もいるからね」
「どうしてもね」
「そうした人がいるよね」
「イギリスにもいたし」
「日本にだってね」
「だから完全にはなくならないよ」
どうしてもというのです。
「このことはどうしようもないよ」
「そうだよね」
「それが現実よね」
「だからケニーみたいなお話も完全にはなくならないね」
「この世には」
「そうだよ」
こう皆に言います。
「そのうえで減らしていくことだよ」
「少しでもね」
「そうしていくことだね」
「それしかないね」
「世の中は」
「そうだよ、完全になくならなくても」
それでもというのです。
「減らすことは出来るからね」
「私達が努力すれば」
「そうすればね」
「だからやっていく」
「諦めないで」
「ゼロかオールじゃないんだ」
先生は確かな声で言いました。
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