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ドリトル先生とサーカスの象

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第四幕その四

「人を騙して自分が得をする様にするけれど」
「先生を見ろって言いたいよ」
「全くだよ」
 オシツオサレツは二つの頭で先生を見て言いました。
「真実を言うのがどれだけ素晴らしいか」
「人の誤解や偏見を打ち消す行いがね」
「嘘吐きは最後は裁かれるよ」
 老馬は断言しました。
「真実は絶対に明らかになるからね」
「世の中色々な嘘吐きがいるけれど」
 それでもと言うジップでした。
「先生は違うからね」
「人は誰でも時として嘘を吐くよ」
 先生は世の中のことからです、皆に答えました。
「僕もね」
「そうかな」
「先生いつも誠実だけれど」
「真面目でね」
「人を騙そうとしないよ」
「真実を伝えようとしているけれど」
「嘘も方便と言うからね」
 だからだと言う先生でした。
「それでね」
「先生もなんだ」
「嘘吐くだ」
「そんな時もあるのね」
「あるよ、けれど嘘を吐いていい時と悪い時があるんだ」 
 先生は皆に研究室で言いました。
「誰かを害する様な嘘、人を攻撃したり自分が悪いことで利益を得る為の嘘はね」
「駄目だね」
「何があっても」
「そうなんだね」
「学問では絶対にだよ」 
 こちらではというのです。
「真実を語らないとね」
「真実を突き止めるものだしね」
「学問はそれが目的だしね」
「そしてその真実を伝える」
「そうしたものだから」
「嘘を吐いてはいけないよ」
 絶対にというのです。
「本当にね、そして悪質な嘘はね」
「ばれるよね」
「何時か絶対にね」
「そして報いを受けるね」
「そうなるわね」
「ずっと騙されるどうしようもない愚かな人はいても」 
 それでもというのです。
「騙されていたとわかった人はどう動くかな」
「怒るね」
「そして許さないよ」
「嘘を吐いた人をね」
「若し何かを騙し取られていたら余計にね」
「怒るよ」
「騙される方が悪いとも言うけれど」
 それでもというのです。
「騙した人が悪いことは事実だよ」
「報いを受けるべきだね」
「そんな悪い奴は」
「嘘がばれたその時に」
「絶対にね」
「そうだよ、ただ最後まで騙されていたと気付かない人は」
 そうした人はといいますと。
「冗談抜きでどうしようもないまでに愚かだから」
「救えないね」
「また騙されるね」
「そうなるわね」
「人間では救えない人もいるからね」
 先生はここでも悲しいお顔で言いました、研究室で皆に自分の席に座ったうえでお話をしていきます。 
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