ハッピークローバー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百七十六話 暖衣その八
「けれどね」
「それでも酒乱で」
「色々やらかしたのよ」
「飲酒運転もして」
「それで事故起こしてね」
息子のことで謹慎中にだ。
「事務所クビになってるし」
「お酒で身を滅ぼしたのね」
「それで肝硬変になっても」
飲み過ぎてであることは言うまでもない。
「まだ飲んでね」
「死んだのよね」
「そうなのよ」
「酒乱でそうなったのね」
「五十歳でね」
「若いわね」
「そうした飲み方は駄目よ」
絶対にというのだ。
「本当にね」
「身体を滅ぼすわね」
「あの人は人生も滅ぼしたし」
横山やすし、彼はというのだ。
「身体もね」
「そうなったわね」
「ああした飲み方をしたら」
実際にというのだ。
「最悪よ」
「やっさんみたいな飲み方は」
「才能あったけれど」
漫才師としてのそれはだ。
「あれは駄目よ、昔はあんな人もいたのよね」
「お酒で身を滅ぼす人が」
「今もいるけれどね」
「昔のそうした人って何か違うわね」
富美子は焼酎を飲みつつ言った。
「無頼派っていうか」
「そう、無頼派よ」
まさにとだ、美奈代は右の人差し指を指す様に動かして話した。
「言うなら」
「そうよね」
「太宰治みたいな」
「あの人が無頼派ね」
「大坂の織田作さんもだけれど」
「何か無頼派っていうと太宰よね」
「太宰もかなり飲んでいたし」
酒好きでも知られている。
「愛人さんもいて」
「愛人さんと心中したわね」
「ああした人がね」
まさにというのだ。
「無頼派で」
「昔はああした人もいたのね」
「今とは違う感じでね」
それでというのだ。
「破滅型だったのよ」
「それでやっさんもなのね」
「そっちに入るわね」
「破天荒な生き方と死に方ね」
「お酒でもね」
「何かね」
富美子は考える顔になり話した。
「今の破滅するタイプって違うわね」
「馬鹿やってってのが多いわね」
「ええ、覚醒剤とか性犯罪とかね」
「破天荒じゃなくてね」
「違うのよね」
「お酒の飲み方もね」
これもというのだ。
ページ上へ戻る