西遊記
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第八回 観世音菩薩それぞれの者と会うのことその二
「五つの宝をお渡しします」
「宝ですか」
「斉天大聖の如意棒等と同じく」
「武器になったりするものをですね」
「はい、要となるです」
運命のというのです。
「取経を行う人に対する」
「金蝉子殿が転生した」
「彼は今は人なので」
だからだというのです。
「何かと護られる必要がありますね」
「神仏と人は違います」
菩薩もこのことはよくわかっています。
「実に」
「はい、取経の運命はまさに山あり谷あり」
「長い旅になり」
「多くの苦難がありますので」
だからだというのです。
「護られる必要があります、まだ共にいく御仁達は神です」
「それも弟子にしますね」
「人が神を弟子としますと」
「かなり無理があります」
「ですから」
そうであるからだというのです。
「御する為の力も必要です」
「左様ですね」
「その為にもです」
「宝が必要ですね」
「そうです、彼には三つの宝をです」
それだけだというのです。
「用意しましたので」
「授けますか」
「そして二柱の神々にそれぞれです」
「一つずつですね」
「授けてくれますか」
「わかりました」
菩薩は一も二もなく答えました。
「有り難く承ります」
「ではお願いします。こちらです」
釈尊は早速それぞれの宝が入った五つの箱を出されました、金色に輝く箱はまさに仏のものでした。
その箱をお出ししてです、菩薩に言われるのでした。
「それぞれ渡す相手はです」
「それぞれの箱に宝の名が書かれていますね」
「金襴の袈裟と九環の錫杖、緊箍児の三つは取経の者に」
「そしてこちらは水の御仁で」
「最後は木の御仁です」
「わかりました、全てです」
「お願いします」
あらためて言うのでした。
「運命に辿り着く為に」
「それでは」
こうしてでした。
宝が渡されました、菩薩は五つの宝を受け取って人界に下りました。そしてまずは流沙河という川に来たのですが。
お供をする木吒、二太子がすぐに言ってきました。
「菩薩様、この川にです」
「はい、捲簾大将がいますね」
「今は」
「その大将に会いに来たのです」
「そうなのですね」
「さて、人界でどうした暮らしをしているのか」
その大将のことをお話します。
「まずはです」
「そのことを確認しますね」
「真面目な方なので」
「今もですね」
「そうして暮らしていると思いますが」
「さて、どうか」
「見せてもらいましょう」
こうお話してでした。
菩薩は二太子と一緒に流沙河に行きました、そうしますと。
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