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バスの中は暑い

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第二章

 牧野は仕事前はいつも車内を涼しくさせてからはじめた、そして。
 生徒達を迎えて送った後は必ずだった。
「今日もです」
「残っている子はいないですね」
「絶対にですよ」
 バスを降りてから浜田に話した。
「子供さん達は皆です」
「バスから降りて」
「残ってはいけません」
「そうしたこともありますからね」 
 浜田も顔を曇らせて答えた。
「それも事件で」
「そうですね」
「ええ、児童の子が残って」
 浜田は校長として子供を自分が預かる学校に通っている子として話した、小学校なので学生ではなく児童なのだ。
「それで暑いバスの中で」
「熱中症になっていますね」
「昔はです」 
 浜田はさらに話した。
「パチンコ屋でありました」
「車の中に子供さんを置いて」
「夏の駐車場で」
「それで熱中症になっていましたね」
「自分達は涼しいお店の中でパチンコに夢中で」
「本当に夏の車の中は危ないんです」
 牧野は真顔で話した。
「どれだけ暑くなるか」
「サウナみたいになりますね」
「サウナの中にずっといるんですから」
 だからだというのだ。
「もうです」
「そんな中にずっといますと」
「大人でも耐えられないです」
 牧野はとてもという口調で話した。
「まして子供さんがです」
「耐えられる筈がないですね」
「はい」
 絶対にというのだ。
「そうです」
「その通りですね」
 浜田も確かにと頷いた。
「そのことは」
「ですから誰も残っていないか」
「貴方もチェックしていますね」
「先生もチェックしてくれていますが」
「念入り」
「そうしています、特にこの季節は」
 夏はというのだ。
「気を付けています」
「そうですか、ではこれからも」
「そうしていきます」
 こう言って実際にだった。
 牧野はバスの中をいつも涼しくしていて仕事が終わったなら誰も残っていないか確認した。そうして子供達が快適で事故もない様にしていった。


バスの中は暑い   完


                 2025・6・21 
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