息子が妊娠させた
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第二章
「びっくりしたわ」
「僕が会社に行っている間にそんなことがあったんだな」
「今日はね。私もパートから帰って」
「そうなってか」
「驚いたわ」
そうだったというのだ。
「実際にね」
「全くとんだ災難だったな」
「全くよ」
夫婦で家の中でこんな話をした、そして。
後日だ、妻は夫に話した。
「前にうちに怒鳴り込んできた河原崎さんね」
「あの人か」
「何でも吉田さん違いだったそうなのよ」
「そうなのか」
「うちは二丁目だけれど」
それでもというのだ。
「三丁目の吉田さんでね」
「ああ、あの息子が半グレのか」
「そう、どうにもない不良の」
「あそこと間違えたか」
「あそこの息子さんがね」
「確か興毅とかいったな」
「中学もまともに出ないでボクサーだかやってるけれど」
それでもというのだ。
「そこでも評判の悪いね」
「どうしようもない奴だな」
「その息子さんが娘さんと遊んでね」
「妊娠させたんだな」
「娘さんもお世辞にって人らしくて」
「変なのが変なのと付き合ったか」
「それでね」
そうであってというのだ。
「そうなったらしいわ」
「そうなんだな」
「だからね」
それでというのだ。
「もうそっちはそっちのお話になって」
「うちは関係ないか」
「ええ」
そうだというのだ。
「もうね」
「ならいいな、もうな」
それでというのだ。
「こんな馬鹿な話は」
「起こって欲しくないわね」
「ああ、後はそっちでやってくれ」
「好きなだけね」
夫婦で話した、そしてだった。
二人はもうそんな騒動とは無縁となった。そしてスコットランドに行った息子が地元の人と結婚したと連絡を受けた、そうして二人でスコットっランドまで行って息子夫婦の結婚式に参加したのだった。
息子が妊娠させた 完
2025・6・20
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