世界の礎
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第二十二話 管理その十四
「農業だけでなく商業も盛んにしてな」
「富も手に入れました」
「それで他の都市国家に武と富を見せてな」
「戦をしても勝てず」
「また降れば自分達にも富がもたらされる」
「そうしたことを見せてな」
外交のカードとしてというのだ。
「戦わずしてだ」
「降らせました」
「そうした都市国家にも収穫の多い作物に鉄他の技術をもたらし」
「同じ様に豊かにして」
「都市国家を降す都度だ」
「豊かになりました」
「そしてメソポタミアを統一してな」
そうしてというのだ。
「さらにだ」
「領土を拡大しました」
「そうしてきた、だから欧州もな」
この地域もというのだ、義青は自身の頭の中にこの世界の地図を出していた。その地図では欧州だけが赤く塗られ他の地域即ち帝国領は青く塗られていた。
「そうしてだ」
「掌握しますね」
「降らないのなら攻めてだ」
「その武力で降す」
「実際にその様にしてな」
そうしてというのだ。
「その際にはだ」
「帝国の武を見せる」
「そうもしてな」
「実際に戦っても勝てない」
サコルが言ってきた。
「それを見せるのですね」
「だがそれだけでな」
「殺戮や略奪は犯さない」
「私自身そうするつもりはないが」
「帝国は寛容である」
「降れば許すこともな」
「見せるのですね」
「そうするのだ」
欧州でもというのだ。
「いいな」
「そうしていきますね」
「民を殺さずな」
「また奪わない」
「襲うこともな」
「一切しないですね」
「極悪人には容赦しないが」
残虐な処刑を与えるというのだ、義青の頭の中に死刑廃止だの残虐な処刑の禁止だのという考えは一切存在しない。
「だがだ」
「罪なき者はですね」
「そうしない、ましてやだ」
「武器を持たぬ者にはですね」
「銃剣を向けない」
「そうあることですね」
「暴動が起こればな」
その場合はというと。
「眠らせたり麻痺させる」
「術や道具で」
「この世界はそれで済むからな」
「武力は用いないですね」
「民がそうしてもな、兎角な」
「民は傷付けない」
「そうするのだ、軍はな」
欧州においてもというのだ。
「その為に給与も払っているのだ」
「将兵達に」
「略奪なぞせずともだ」
「生活が出来る」
「そしてだ」
義青は話を続けた。
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