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ドリトル先生とサーカスの象

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第二幕その四

「そんな人がいるのよ」
「世の中先生みたいな人もいれば」
 そしてと言うチーチーでした。
「そんな酷い人もいるね」
「そんな人が多くなったら」
 ポリネシアは心から思いました。
「世の中はとんでもないことになるわ」
「そんな世の中にならないで欲しいね」
「全くよ」
 チープサイドの家族も心から思いました。
「そんな世の中になったら」
「世の中どれだけ酷いものになるか」
「ケニーみたいな子がどんどん増えて」
 そしてと言うホワイティでした。
「恐ろしいことになるね」
「日本でも何処でもそんな人はいるから」
 トートーもわかっていることです。
「増えないで欲しいね」
「先生みたいな人が増えて欲しいよ」
 ガブガブは先生を見て言います。
「絶対にその方がいいよ」
「僕は自分を立派とは思っていないけれど」 
 それでもと言う先生でした。
「けれどね」
「それでもだよね」
「先生はそんな人達と違うからね」
「優しくてね」
「痛みもわかるから」
「テロがあって大勢の人達が死んで傷付いて」
 先生は今度はこんなことをお話しました。
「そのテロを起こした人達が権力に反対するからいいとか言う人はどうかな」
「絶対に間違っているよ」
「テロで殺された人の命はどうなるの?」
「傷付いた人達は身体にも心にも傷を負ったよ」
「遺族の人達の悲しみは?」
「無関係なのに巻き込まれたのに」
「そんなこと言う人に思いやりや優しさはあるかな」
 先生は皆に尋ねました。
「法律を守ろうという意識や命を大事に思う気持ちや人の気持ちを考える配慮は」
「ないね」
「何処にもないね」
「そんなものは全く見られないわ」
「とんでもない考えだよ」
「有り得ないまでに酷いよ」
 皆で先生に怒って答えます。
「権力に反対してもテロは駄目だよ」
「関係ない人を殺したら」
「それは絶対に許されないよ」
「何があってもね」
「それで人の命や痛みや悲しみをわからない、わかろうともしないなら」
 それならというのです。
「もう人としてね」
「最低だね」
「人間ですらないよ」
「最低過ぎて」
「もうどうしようもないわ」
「そうした考えの人はね」
 それこそというのです。
「ケニーが死んでもね」
「何とも思わないね」
「自分は人の命の大切さや傷付いた心のことや遺族の人達の苦しみや悲しみなんてわからないわかろうともしないぞって言ってるのと同じだし」
「そんな人達はね」
「ケニーについてもだね」
「ケニーを政府に反対するテロリストが殺したら」
 そうであるならというのです。 
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