八条学園騒動記
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第八百三話 和歌を詠む位その七
「つくづく」
「強くなんかないから、本当の強さは」
それはというと。
「弱い相手を虐げるんじゃなくて」
「弱い人を守る」
「その為に力を振るうことよ」
「軍人さんやお巡りさんみたいに」
「学校の先生はそうした人達嫌いだけれど」
これは教師の組合が非合法組織と裏で結託しているうえに無政府主義的な考えも持っているからだ、秩序を守る組織や構成員を嫌うのだ。
「むしろね」
「軍人さんやお巡りさんの方がね」
「立派よ」
「守る為の力を持っているから」
「それをいざという時に振るうから」
「法律に従って」
「こうした組織も問題あるけれど」
その中ではだ。
「けれど流石に未成年を大っぴらに殴って蹴って罵ってはね」
「しないわよね」
「犯罪だから」
それ故にというのだ。
「しないわ」
「暴力は振るわないわね」
「この人達の力は武力でね」
そうであってというのだ。
「本当の意味の強い力よ」
「そうよね。詩を馬鹿にして」
彰子はそれでと話した。
「暴力振るうならね」
「本物の野蛮でね」
七美は話を続けた。
「屑よ」
「そうなるわね」
「それなら詩が好きで」
「詠う方がいいわね」
彰子は和歌を思い出しつつ言った。
「その方が心は奇麗でね」
「雅でね」
「いいものを見られて感じられて」
「いいわよね」
「そんな先生が感じるものなんて」
「碌なものじゃないわよ」
「絶対にね、先生じゃなくても」
それでもというのだ。
「同じ様な人、露骨に憎しみや差別煽ったりする様な」
「ヒトラーやスターリンみたいな」
「そんな人達もね」
「ええ、ただヒトラーやスターリンって」
七美は彼等のことも話した。
「二人共読書家で詩もね」
「好きだったのよね」
「これがね」
「意外なことに」
「あんなことをしても」
独裁者で多くの人を殺してもというのだ。
「あれでね」
「そうした一面もあったのよね」
「ええ、ただね」
「大抵の人はね」
「そうした奴はね」
「詩なんてよね」
「もうね」
それこそとだ、七美はまたこう言った。
「頭から馬鹿にしていて」
「気にも留めないわね」
「いつもね」
「そうよね」
「暴力を振るって自分は強いと思って」
他人を虐げてというのだ。
「満足している」
「それだけの奴ね」
「そこから向上する気なんかなくて」
それでというのだ。
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