星河の覇皇
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十八部第四章 当直任務の様にその七十五
「それもです」
「熟知と言っていいですね」
「はい、ですが」
「その弱点はですね」
「敢えて言わず」
「長所である巨大さをですね」
「喧伝します、そして軍だけでも」
中央政府軍だけでもというのだ。
「統一して動ける様にし続けます」
「現状の維持ですね」
「百三十億の軍隊が中央政府のコントロールの下に動き」
そうしてというのだ。
「国防を担う」
「そうした軍隊ですね」
「間違ってもその中に多くの軍閥は存在しません」
「軍閥は存在してはなりません」
劉がそれは警告する様に述べた。
「何があろうとも」
「国家を統一して防衛したいのならば」
「はい、絶対にです」
「軍閥を置いてはいけません」
「先に述べた宋は確かに弱かったです」
再び宋朝弱兵の話が出た。
「歴代王朝共和制になってからでもです」
「最弱と言われていますね」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「そもそも何故硬直した中央集権的な軍事統制になったか」
「軍閥の誕生を防ぐ為でした」
八条はまさにと答えた。
「そうでした」
「そうです、その頃の中国は節度使が存在していました」
「唐からでしたね」
「各地で軍事だけでなく行政の権利を握り」
そうしてというのだ。
「そのうえで」
「各地で半独立状態になり」
「軍閥となり」
今話しているそれにというのだ。
「国家の国防を分裂させ」
「国家を弱めましたね」
「そして唐を滅ぼしてです」
黄巣の乱で実質的に滅んでいたがそこでもう節度使の力を抑えきれなくなり朱全忠という男に簒奪されたのだ。
「後の五代十国でも」
「歴代の短命な王朝は常に節度使に脅かされていました」
「それを見てきたからです」
「宋は節度使を弱めました」
「二年か三年で交代させ」
それまではほぼそこに留まっていたところをだ。
「根付き権益を持つことを防ぎ」
「新たな節度使を置かない様なこともし」
「その上に文官も置き」
「かつ文官の県気の大きくし」
「そこまでしてです」
まさに徹底してであった。
「節度使を弱め」
「軍閥化を防ぎましたね」
「何故岳飛が殺されたか」
この時代でも中国最大の英雄の一人とされている、紛れもなく名将であり宋の忠臣であった。
ページ上へ戻る