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とある女子大生の事件簿

作者:スズ
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第2話 

「・・・・いや、まさかその日に誘拐事件に遭遇するとは。」

「でも、全然おっちゃんとか信じてくんねーし、蘭は市議との邪魔しちゃダメっていうし」
「ま、見た目で言えば当然だよね。まさか何も知らない人からしてみれば、事件現場を見たときの作法とか子供が知っているとか思わないし、大人としては子供を近づけないとか当然の配慮だよね。」

まさか、その日に事件にあっていたとか朱里からしてみれば事件にあったのは10年前のあの日だけ、高校で
杯戸高校の寮、大学生になってから米花に来たけど1度も事件に遭遇したことがない。
それが、小さくなったその日に別事件に巻き込まれているとは、戦々恐々でしかないのだ。


「・・・で、阿笠博士から聞いていると思うけど、、、、」

「悪そうなやつらを見かけても一切追いかけない、探らないんだろ?」
「えぇ、君も早く元に戻るために情報欲しいんだろうけど、私の危険だけでなく私の周りも危険になる可能性があると聞かされるとね・・・やっぱり家族や大切な人の身を考えるたいから。」
「わかってる。」

どうやら博士からもそういわれているらしくすぐに納得した。
そうして、いろいろ注意事項などを詰め、その日は後にするのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「バレンタインパーティー?」

『えぇ、よかったら朱里さんもどうかなって。それともやっぱり彼氏さんがそういうの許してくれない感じでしょうか?』

「ん~、彼忙しくて会うの明後日にしてるから明日はフリーよ。一応どこに行くかは伝えておくわね。」

『わかりました!!』

既に彼に渡すバレンタインチョコを作り終え家でゆったりしていた朱里は突然の蘭からの電話にびっくりしたが、かわいい空手の後輩からのお願いには無下にせずに了承するのだった。

「(そういえば・・・コナン君はどうするのかしら?)」

元は高校生のあの少年、蘭のことが好きなのは話してみてわかってきたが、蘭の口ぶりからコナンはいなさそうである。
自分が子供の体なので、こういった行事を阻止できないコナンのことを若干不憫に思う朱里なのであった。


そしてバレンタイン当日

毛利探偵事務所が待ち合わせとなってそこに行くと既に鈴木園子と案内人である若松が待っていた。
実は朱里は園子とは初対面である。
園子は既に朱里のことは蘭伝いに聞かされているらしい。
蘭を待っていると、後ろから青い小さい影がひっそり近づいてトランクに隠れるのだった。

園子と若松は気づいていなかったが、その光景を朱里はばっちり目にしており、

「(ふふふ・・・若いっていいなぁ・・・)」

ほほえましそうに見ているのだった。

朱里も十分若いのだが・・・・


やがて蘭も降りてきたので、若松の車で皆川邸へ移動した。

ーーーー


「「「「「「カンパーイ!!!!」」」」」」


パーティが開始された。



ものすごくはしゃいでいる園子、そんな園子に苦笑いの蘭、楽しそうな年下二人を見てほほえましそうに時折横目に見ながら、かおりと話す朱里。

「じゃあ不二さんは私たち同じ大学生なんですね!」

「えぇ、今回は蘭ちゃんに誘われ参加したのよ。急だったし皆さんには迷惑かなと思ったのだけれど」


「全然!私も不二さんと話せてうれしいです!!」

急遽参加となった朱里だったが、参加者の大学生たちは温かく迎え入れてくれた、もともと人数分しかなかったケーキだが、わざわざ皆川克彦の母がすぐにもう一つケーキを買ってきてくれたのだった。
特に参加者の一人関谷かおりとは隣に座っていたのもあってかなり仲良くなった。

テニスのこと、医者の恋人のこと、応急処置のこと、お互いの大学の講義のこと同じ大学生ということもあり、何でも話すことができた。

ただその反面、トラブルも起きていた、高校生二人以外はお酒も入っていたため克彦が酔っぱらって参加者:直道に絡んで断られ大激怒や、コナンが寒空の下外にいたことなどが起きていた。
コナンのことに至っては皆川邸に来るまではトランクにいたことを知っていた朱里もいざパーティが始まるとすっかり忘れてしまっていたのだった。(ごめんねコナン君・・・)

克彦の母小百合のご厚意によってコナンも参加が決まった。



そのあとも微妙な雰囲気になって克彦が直道にもらったタバコを吸いに出ると同時に朱里もお手洗いに向かった。


「・・・・・ふぅ(こういうのも悪くないけど、少し疲れたわね・・・)」

普段は空手の道着を着ていたりトレーニングのため、スポーツウエアだったり、プライベートでも姉・由美子とは違いカジュアルを好んで着ているため、こういったスカートで過ごすのはデート以外では珍しいのだ。(なお、ビジュアルはあの兄弟にして朱里であるため、朱里を知る友人たちには買い物に行くと連れまわされ買いもしないのに着せ替え人形とされる)

そして、お手洗いから戻ろうとしたその時だった。

キャーーーーーー!!!!!


「!!」

朱里はさすがの反射で悲鳴の聞こえた方向に一目散に走った。

そこにいたのは苦しんでいる克彦と気が動転している好美だった。

「ちょっとどいて!!」

朱里は状態を確認し、てきぱきと応急処置を施す。(この時ほど彼に応急処置を聞いといてよかったと思った)

処置をしている間に、コナンなどもやってきた。
朱里は応急処置をしながら、蘭に救急車と警察への連絡を指示した。

まもなく運ばれ、克彦は朱里の処置が早く的確だったこともあり、何とか一命をとりとめた。

ーーーーーーーーーー

「まず、克彦さんは病院からの連絡で応急処置が的確で、素早かったこともあり何とか一命をとりとめることができたそうです。」

「そうなんですか!?よかった~」

園子のうれしそうな声を皮切りに、よかったと声を上げる参加者たち。(何人かは微妙な顔をしている者もいたが)

「病院と鑑識からの見解では農薬系の中毒だとのことでした。」

朱里もふと息をつく。

ただ、克彦は死ななかったものの彼を殺めようとしたことは変わらない。殺人未遂としての捜査が開始された。

「渡辺好美さん。彼はあなたのチョコを食べてから倒れたんですな?」

状況からすれば好美が第一容疑者である。警察や蘭から連絡を受け迎えに来た小五郎からも疑われていた。

朱里はじっと、その様子を眺めていた。時折気分不快になりながらも。
「あのー朱里さん、大丈夫ですか?」
朱里の青ざめた顔を見たのか心配そうに見ていた。

「あ・・・・ごめんね。今までに事件に遭遇したことなかったから驚いて・・・・」

年下で慕ってくれる蘭の手前、何とか取り繕うとしたが足に力が抜けて座り込んでしまった。

「朱里さん!!」

「ごめんね・・・」

「いえいえ・・・お父さん。目暮警部。朱里さんは一旦この場から離してもいいでしょうか?」
「我々も気遣えずにすみませんな。問題ないので外の空気でも。」

「ありがとうございます。」

そう一言告げて朱里は一旦退出するのだった。

外の空気を吸い、深呼吸をする。


「ふぅ・・・(思ったより精神的にきついわね)」

ふと、携帯にメッセージが入っていることに気が付いた。

メッセージに返信するとすぐに電話がかかってきた。

電話の相手は恋人:麻生成実からだった。
少しやり取りしていると大分体調が戻ってきていた。

朱里が再び部屋に戻るためにキッチンを通ると小百合が食器を洗っているのが見えた。
そのことに不信さを覚えた。

「(自分の息子が、殺されかけたというのにまるで心配していないみたいじゃない。それにあれってコーヒーを入れていたコップよね?まだ時間たってないのにもう食器を洗ってるのね。ドラマとかで見るサスペンスって証拠になりうるものは触っちゃいけないっていけど実際はそうでもないのかな?)」

そのあと、見た目は小学生だが中身は高校生なコナンに思った疑問を話すことにした。


「あ、コナン君。」
「朱里さん!!大丈夫なの?」
「えぇ、外の空気吸って、ちょっと電話して気分転換できたから。それよりちょっと疑問に思ったことがあるのだけれど・・・」

コナンに先程の光景を話した。

「それ本当!?」

「えぇ、捜査のことをあまりよく知らないのだけれど。あんなにすぐに洗っていいの?なんだか今回どこに毒を仕込んであったのかと言う論点で考えているみたいだから、あれが証拠隠滅みたいで・・・」

「いや、朱里さんの発想あっていると思うよ。」
真剣な表情でコナンは言う。

「とりあえず今のでどこに仕込んであったのかもわかったから、もうすぐ解決するよ!!」



そういったコナンは客室に駆け込んでいった。


もしかしてと思った通り犯人は、母親である小百合だった。
目当ては克彦にかかっていた多額の遺産目当てだった。(どうやら克彦と小百合には血のつながりが無かったらしい。
血のつながりがなくても親子であるはずなのに平然と殺そうとできる神経に朱里はぞっとした。

また、他にも克彦を殺そうとした人がいたらしく、克彦自身が無意識に回避していたらしい。
それを聞いてそうほいほいと殺害を思いつくなんて殺意高いと唖然としていた。


ーーーーーーーーーーーーー

事件が解決し、皆川邸を全員で後にした。

小五郎は事情聴取に付き合うとのことで警察と残り、朱里、蘭、園子、コナンはバス停に向かって歩いていた。

「それにしても、バレンタインデーの日に大変な事件だったよねー。朱里さんは体調大丈夫なんですか」
「今は大丈夫よ。ちょっと疲れただけだったから。まさかあそこまで足に力が入らなくなるとは、精神的な修行不足かしら?」

「(おいおい、そういう問題じゃ無くね???)」

「また別の問題だと思いますよ?それに克彦さんが命が無事だったのだって朱里さんのおかげだったんですから」

「そういってもらえると助かるわ。今回はそこの不安が大きかったな。」

「どういうことです?」

「自分、スポーツやっているものとして、けがの処置はしたことあったけど、毒飲んだ人の処置はしたことがなかったから。もしこの処置の方法が間違ってたら、やれることはやったけど間に合わなかったらと思うとね。助かったと聞いて、気が抜けたというか・・・・」

「あぁ・・・・わかります。」

「やっぱり、私たちもいざという時のために応急処置習ったほうがいいかもしれないね。」

コナンは女性陣のやり取りを聞きながら、前方に人影が見えた。何やらこちらに手を挙げている。

「あれ・・・人がいるわね。こちらに向けて手を挙げているみたいだけど知り合い?」
「・・・・成実さん?」
「朱里さんの知り合いですか?」

「えぇ、私の彼よ!!」

「「えぇ!!?」」

「お、よかったすれ違わなくて。」

「どうしてここに?」
「体調不良になったって言ってたし迎えに来たよ。」

蘭や園子に成実を紹介する。
何やら聞きたいことがたくさんあるようで目をキラキラさせており、成実が送ると提案したが、
それにはハッとして、固辞した。

「じゃあまたね?」
「はい、ゆっくり休んでくださいね?」

こうして朱里は成実と車がある方向に去っていった。

それを見送りながら、園子は「やっぱり彼氏欲しいなぁ・・・・」

それを見た蘭も「ああいう関係素敵だなぁ・・・・」とこぼすのだった。

蘭から思わずこぼれ出た言葉にコナンは早く戻らなければと決意を新たにするのだった。


そのあと、蘭は追いかけてきてチョコを強請り始めた若松に空手で威嚇することになることはこの時誰も思わなかった。


ーーーーーーーーーーー

朱里と成実は車に乗り込み発信させる前に、顔の熱を測り始めた。

「うん。熱はなさそうだけど、疲れた顔をしてる。大丈夫か?」

「うん。ちょっと疲れたけど、成実さんが電話をかけてきてくれたからチャージしてもらったわ。有難う。忙しいのにごめんね?」

「ちょうど休憩したところだったし、彼氏なんだし心配させてくれよ。」


よくできた彼氏様である。お医者さん何て輪にかけて忙しいはずなのに。
前に作成した論文が評価されており、患者の気持ちに沿って診察してくれるから、院内でも期待のホープとして期待されているらしい。

「朱里んち着いたらおれが、夕飯の準備するからゆっくり休んでくれな?」

「でも今日はバレンタインなのに・・・・」

「じゃぁまた夜甘えさせてくれよ」

”夜”という言葉が出たときに朱里の頬が赤く染まった。成実は満足げである。

「お、お手柔らかにね・・・・」


その夜、朱里はおいしく頂かれましたとさ。





 
 

 
後書き
彼とか恋人とか書きましたが、途中から名前ありとしました。
原作では某連続殺人犯として壮絶な最期を遂げたあの方です。
原作では完全に復讐するために、計画を起こしておりましたが今作では2年前に不二家の家族旅行として月影島に行った際、なんやかんやあって当時の犯人たちを逮捕しています。
その際、例の女医(本来は男)と連絡先を交換、やり取りのち交際に発展しています。
麻生成実の年齢は25歳(原作では26だった気が・・・)

さて、今回のもとはバレンタイン殺人事件!!
朱里の立ち位置は基本傍観者。頭もよく時折勘が鋭いですが、探偵ではありません。
なので、コナンにたまに助言を与える立ち位置となります。(後、結構運いい・・・)
今回は殺人まではいかず殺人未遂事件としました。
適切な応急処置をすれば救える人もいるのではと思い、恋人が医者という観点から応急処置講座を受けていてもおかしくないかなと(成実は本島に出てきた際、あまりの患者の多さに事件起こりすぎと危惧し、何かあった時のためにと定期的に応急処置について教えている感じです)

基本は原作通りに動きますが、救済した人もいるためどうなるか・・・・
 
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