おぢばにおかえり
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第八十五話 奈良市その二十三
二人で大仏さんと他のものをじっくりと観ました、そしてです。
新一君は私にです、本堂の中を二人で観て回ってから言いました。
「じゃあ次は春日大社ですね」
「そちらね」
「その鹿の本拠地といいますか」
「お家になるのね」
「そうなりますね、それじゃあ行きましょう」
「宜しくね」
私も応えてでした。
新一君に春日大社まで案内してもらいました、そして赤い境内に入らせてもらうと新一君はこう言いました。
「ここは藤原氏の社なんですよね」
「あの有名な」
「はい、中臣鎌足からはじまる」
大化の改新のあの人です。
「そのお家です」
「藤原道長さんとか有名よね」
「あのお家で」
それでというのです。
「今もこうしてです」
「大社があるのね」
「はい、ただ」
新一君はここで私にこんなことを言いました。
「僕ここに来たの珍しいです」
「そうなの?」
「あの鹿達をいつも見ますよね」
公園のあの子達をというのです。
「奈良市に来たら」
「春日大社の神様の使いだから」
「その鹿達を見たら」
それならというのです。
「もうここまで来なくていいと思いまして」
「来ないのね」
「普段はそうなんです」
奈良市に来た時はというのです。
「大仏さんは観るんですが」
「じゃあ今回は私を案内してくれて」
「はい」
それでというのでした。
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