| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

金木犀の許嫁

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十七話 白華のお見合いその五

「やっぱりね」
「忍者よね」
「だからね」
 それでというのだ。
「ここはね」
「忍者ね」
「そう、一回行ったけれど」 
 それでもというのだ。
「またね」
「忍者を見に行くのね」
「俺実際に忍者だし」
 その修行をしていてというのだ。
「そもそも忍者のお家だし」
「それじゃあね」
「何度も観て」
 資料館にあるものをというのだ。
「勉強することは大事だし」
「観て楽しいしね」
 真昼が笑顔で言ってきた。
「それじゃあね」
「いいですよね」
「私もそう思うわ」
 佐京に答えた。
「いい資料館よね」
「忍者のことがよくわかる」
「だからね」
「白華達のお見合いの時は」
「資料館に行きましょう」
「わかりました」
 佐京は真昼に微笑んで答えた、そうしてだった。
 その時は三人でもう一度忍者の資料館に行くことにした、その話が整うと真昼はこんなことを言った。
「伊賀と真田はまさに仇敵同士だったわね」
「江戸時代は」
 佐京はまさにと答えた。
「そうでしたね」
「関ケ原から」
「幸村公が高野山に流されている間も」
 その時もというのだ。
「監視されていましたし」
「一触即発だったわね」
「そして大坂の陣で戦い」
「幸村公も十勇士の方々も薩摩に逃れられて」
「それからもです」
「薩摩、島津藩の領地に入るって」
 そのことはというのだ。
「命懸けだったのよね」
「幕府の隠密が。伊賀の人もでした」
「若し余所の人が入って怪しいと思ったら」
「切り捨てられていました」
「そうだったのよね」
「生きて帰れぬ薩摩飛脚って」 
 その様にというのだ。
「言われていました」
「そうだったわね」
「幕府から睨まれていましたので」
 薩摩藩はだ、長州藩と並ぶ幕府の仮想敵国だった。その為幕府も何かあれば取り潰すことを念頭に置いていたのだ。
「実際密貿易もしてました」
「清とかオランダと」
「そうでしたし」
 それでというのだ。
「幕府からの隠密を警戒していて」
「伊賀の人達が入っても怪しまれたら終わりだったわね」
「真田家と十勇士はその薩摩にいましたので」
「伊賀の人達とは対立していたわね」
「ご先祖様達が薩摩に逃れたのは公然の秘密でした」 
 まさにというのだ。
「幕府の隠密の間では」
「それで切り捨てる方に」
「はい」
 まさにというのだ。
「真田家も十勇士の家もいました」
「明らかにね」
「切り捨てていたかはわからないです」
 実際にそうしていたかはというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧