西遊記
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第四回 悟空斉天大聖となるのことその十一
「弼馬温の仕事は他の者を任じ」
「斉天大聖に任じるか」
「そうしましょう、何でもです」
金星はさらに言いました。
「禄も仕事もいらぬ」
「官位だけ高いといいな」
「そう言っていますし」
それでというのです。
「もうです」
「認めてやるか」
「そうしましょう」
「そうだな、名前だけだしな」
「官位は高く」
「何でもない、ではな」
「はい、斉天大聖にです」
「任じよう」
こう言われてでした。
金星にです、帝は言われました。
「その様にする」
「それでは」
「とんだ我儘だが」
それでもというのです。
「邪気は見られぬしな」
「邪なものはないので」
「そなたもよいとしておるな」
「あの者やんちゃですが」
それでもというのです。
「邪気はなく」
「根はよいな」
「そうした者ですし相を見ますと」
お顔のそれをです。
「大事を為すので」
「それ故にだな」
「私もです」
金星としてもというのです。
「よいと思っています」
「そうなのだな」
「はい、そして」
それでというのです。
「斉天大聖に任じ」
「神界に置こう」
「それでは」
「ではお主がな」
金星にあらためて告げました。
「あの者に伝えてな」
「連れて帰るのですね」
「そうせよ」
「さすれば」
金星は頷いてでした。
そのうえで花果山に赴きそのうえで悟空に話を伝えました、すると悟空は両手を叩いてはしゃいで言いました。
「いやあ、嬉しいです」
「斉天大聖に任じられてだな」
「わしは自信があります」
天帝のお言葉を伝えるので上座に立った金星に畏まって答えました。
「自分の力に」
「だから位もだな」
「高くあって欲しいのですが」
「この位はかなり高くな」
「神界の大臣と同じだけですな」
「うむ、そこまででな」
それだけの位でというのです。
「そなたの義兄弟達ともだ」
「肩を並べる」
「そこまでのものだ」
「それで満足です、いやあれですよ」
悟空は右手の人差し指を前に出して言いました。
「兄弟達にもです」
「顔が立たぬな」
「あまりに低い官職ですと」
「そうであるな」
「ですから」
それでというのです。
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