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昔の体形

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第三章

「何でも馬に乗るには足が長くないと駄目らしいですね」
「鐙に足が届いてな」
 岸川はまたこう言った。
「ちゃんと跨ないといけないからな」
「だからですね」
「どうしてもな」
 馬に乗るにはというのだ。
「足が長くないとな」
「駄目ですね」
「それで今川義元さんはな」
「足があまりにも短くて」
「馬に乗るのが下手だったんだな」
「そう言われています、ただ実際は」
 万永は今川義元のことをさらに話した。
「元々あの人お坊さんで」
「出家して学問や仏教のことに専念してか」
「それで家督継ぐまで馬に乗っていなくて」
 その為にというのだ。
「下手だったってお話もあります」
「足は関係なかったか」
「実際短いかどうかも」
 このこともというのだ。
「わからないですね」
「そう言われてるだけか」
「そうかも知れないです」
「そうなんだな、けれどな」
 それでもとだ、岸川はレバー鶏のそれを食べつつ話した。
「昔の日本人はな」
「足も短くてですね」
「胴長でな」
 そうであってというのだ。
「ガニ股だったんだ」
「そうした体型でしたね」
「わしの親父の世代でもな」
「体型は変わっていなかったですか」
「何か違うな」
 そうだったというのだ。
「昭和だな」
「昭和の人の体形ですか」
「映画なんか観ればわかるぞ」
 それをというのだ。
「昭和のな」
「体型が違うんですね」
「わしは昭和四十年代に生まれたけれどな」
「僕平成です」
「けれど昭和十年代とか二十年代生まれはな」
 そうした頃の人達はというのだ。
「体型が違うんだ」
「そうですか」
「野球選手でもな」
 自分達の職場の主役の人達の話もした。
「違うからな」
「そうですか」
「まだ胴が長くて足も短くて」
「オー脚ですか」
「それが残っていて背もな」
 こちらもというのだ。
「低いな」
「今の日本人と比べたら」
「だからユニフォームも違うだろ」
 野球のそれもというのだ。
「昔と今じゃな」
「昔のは少し野暮ったい感じがしますね」
「時代によってデザインも違うしな」 
 それと共にというのだ。
「着る人達の体形もな」
「違いますね」
「わし等の頃のイチロー選手はすらりとしててな」
 そしてというのだ。 
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