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インフィニット・ストラトス~黒き守護者~

作者:eibro
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クラスの出し物決め

 その日の放課後、教室でクラスの出し物を決めていた。

(内容が『織斑一夏のホストクラブ』『織斑一夏とツイスター』『織斑一夏とポッキー遊び』『織斑一夏と王様ゲーム』か)

「却下」

 一夏がそう言う前に俺は耳を塞いでやり過ごす。

「あ、アホか! 誰が嬉しいんだ、こんなもん!」
「私は嬉しいわね。断言する!」
「そうだそうだ! 女子を喜ばせる義務を全うせよ!」
「織斑一夏は共有財産である!」
「ほかのクラスから色々言われているんだってば。うちの部の先輩もうるさいし」
「助けると思って!」
「メシア気取りで!」

 と口々にクラスメイトたちが反論する。
 ちなみに織斑先生は逃げた。

「山田先生、ダメですよね? こういうおかしな企画は」
「えっ!? わ、私に振るんですか!?」

 馬鹿だな。彼氏がいない山田先生がそんなことにまともな意見を出す訳がないだろう。

「え、えーと……うーん、わ、私はポッキーのなんかいいと思いますよ……?」

 ほらな。

「ってそれより、どうして俺だけなんだ!!」
『死にたくないからです!!』

 あの光景を見たクラスメイトたちが口を揃えてそう言った。

「と、とにかく、もっと普通の意見をだな!」
「メイド喫茶はどうだ」

 そう言ったのはボーデヴィッヒだった。

「客受けはいいだろう。それに、飲食店は経費の回収が行える。確か、招待券制で外部からもはいれるのだろう? それなら、休息場としての需要も少なからずあるはずだ」

 まぁ確かにな。メイド服を見に来る男たちもいるんだし。
 
「いいんじゃないかな? 一夏と風宮君には執事か厨房を担当してもらえばオーケーだよね」

 その案に口々と賛成の意を唱えるが、

「で、でも、風宮君はどうするつもり?」

 そして全員が俺を見る。

「………まぁ、気が向いたら出てやらなくもない」

 そう言うと全員が喜んだ。相川と谷本が山田先生を拘束しているところで予想すると、どうやら胸を使うつもりだったらしい。





 ■■■





 そしてその出し物を決め終えた後、俺と一夏は出し物『ご奉仕喫茶』のことを伝えるために職員室に来ていた。

「……というわけで、一組は喫茶店になりました」
「また無難なものを選んだな。―――と言いたいところだが、どうせ何か企んでるんだろ?」
「一夏を執事にさせるためのコスプレ喫茶です」
「立案は誰だ? 田島か、それともリアーデか?」
「え、えーと………」
「ボーデヴィッヒですよ」

 もたもたしている一夏のために先に答えると、織斑先生が固まり、そして吹き出した。

「ぷっ……ははは! ボーデヴィッヒか! それは意外だ。しかし……くっ、ははっ! あいつがコスプレ喫茶? よくもまあ、そこまで変わったものだ」
「やっぱり意外……ですか?」
「それはそうだ。私はあいつの過去を知っている分、おかしくて仕方がないぞ。ふ、ふふっ、あいつがコスプレ喫茶……ははっ!」
「先生、周りが注目しています」

 仏心にそう言った。
 そしてどうやら恥ずかしかったらしく、咳払いして続ける」

「ん、んんっ。―――さて、報告は以上だな?」
「はい。異常です」
「ではこの申請書に必要な機材と使用する食材などを書いておけ。一週間前には出すように。いいな?」
「は、はいっ」

 俺はそれを見ていて歯噛みした。

「織斑、風宮学園祭には各国軍事関係者やIS関連企業など多くの人が来場する。一般人の参加は基本的には不可だが、生徒一人につき一枚配られるチケットで入場できる。渡す相手を考えておけよ」
「あ、はい」
「……………」

 俺の顔つきがおかしかったのか、織斑先生がこっちに腕を引いた。

「とりあえず落ち着け、風宮」
「これが落ち着いていられる状況ですか?」
「だが、あいつはそういう女だ。適当に流しておかなければ身が持たないぞ」

 そう言われるが俺は、

「無理ですね。ああやって本人に無許可で勝手に行動する人間って大っ嫌いなんですよね」

 大体むかつくんだよ。あんな女と美人系美少女で浴衣姿がかなり可愛い簪さんが比べられるって。本当に―――殺したくなる。

「………お前があの女をどう思うが構わないが、束のようにはなるなよ」
「あの狂人と一緒にしないでくださいよ。俺はあなたが思っているほど立場はわきまえているつもりだし、それに―――認められないからってミサイルをハッキングするような人間じゃありません」

 そう言って俺は簡単に挨拶をして外に出た。




 
 ■■■





「織斑先生………」

 少し心配そうに千冬を見ながら真耶は声をかける。

「どうした?」
「いえ。私、怖いんです。いつか風宮君が歴史に残るような大事件を起こしそうで……」
「………そうならないようにするのが私たち教師の役目だろう。少なくとも、ここにいる三年間は、な」

 そう言いつつも千冬は祐人が出ていった扉を見続けていた。 
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