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心臓が治るなら

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第一章

                心臓が治るなら
 七井保奈美は先天的に心臓に病気を抱えている、このことが彼女の両親にとって悩みの種であり何とかしたいと思っていた。
 だが保奈美はまだ小さくてだ。
「手術をするにもな」
「体力が必要だし」
「無事に手術が出来るまで」
「待ちましょう」
 保奈美の成長を待った、保奈美は面長の顔で和風の整った顔立ちで黒髪を長く伸ばしている。母の日和そっくりである。
 心臓が悪いので激しい運動は出来ず体育の授業も殆ど休んでいる。だが彼女が成長して医師から手術をしてもいいと言われてだ。
 夫でサラリーマンの慎、穏やかな顔で面長で黒髪を短くしている一七四程の背の痩せた彼は妻に言った。
「手術をしても大丈夫って言われたからな」
「成長してね」
「保奈美もそれだけの体力が備わった」
「手術に耐えられるだけの」
「だったらな」
 夫は妻に話した。
「いよいよだ」
「手術してもらいましょう」
「今すぐにな」 
 こう話してだった。
 夫婦は保奈美を入院させてだった。  
 心臓の手術を受けさせた、手術は無事成功して保奈美は普通の心臓になった。そして次第に普通の人と同じだけ動ける様になった。
 だがその彼女にだ、一つ下の妹で身体は健康な麗子は言った。姉と妹でそっくりの外見をしている。
「お姉ちゃん心臓悪かったけれど」
「今は何ともないわ」
「心臓ってね」
 妹は姉に言った。
「大事なところだし手術もね」
「難しいのよ」
 保奈美もこのことは知っている。
「凄くね」
「そうよね、それでね」
 そうであってというのだ。
「体力も必要で」
「私が大きくなるまで待ってたの」
「けれどそうした手術なら」
 どうかとだ、麗子は話した。
「お金もかかるわね」
「そうね」
 保奈美も言われてこのことに気付いた。 
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