洒落にならない国からの発注
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第一章
洒落にならない国からの発注
北朝鮮についてだ、八条農業で通販部門で勤務している軍司勘三ジャガイモの様な顔で黒髪を短くした一七二程の背でがっしりした体格の彼は先輩の小倉武蔵細面で狐顔で黒髪を真ん中で分けた一七〇位の痩せた彼に会社の中で言った。
「あそこで暮らしたい人いませんよね」
「昔いてどうなったか知ってるだろ」
小倉はないよという顔でこう返した。
「帰国事業で帰ってな」
「誰も日本に戻ってないですね」
「俺達は明日のジョーだって言って行った連中もな」
「ああ、よど号だか何だかで」
「どうなったか」
「そうした国ですね」
「東映の特撮ものの悪役みたいな国だぞ」
北朝鮮はというのだ。
「文字通りのな」
「あそこはそうですね」
「だからな」
それでというのだ。
「あそこに行くってことはな」
「地獄に堕ちる様なものですね」
「いい話なんて聞かないだろ」
「何一つですね」
「もう漫画かって言う位のな」
そこまでのというのだ。
「とんでもない国だろ」
「そうですよね」
「世襲の独裁でな」
「階級があって」
「粛清もあって軍隊ばかり力を入れていてな」
先軍政治と言う、戦前の日本の軍国主義とやらなぞそれこそ何でもないまでに極端な軍事偏重政策を行っているのだ。
「核兵器だミサイルだってな」
「国民は餓えていて」
「まともに水道の水も出なくて燃料もなくてな」
「夜は真っ暗で」
「物々交換になっているんだぞ」
経済の在り方はというのだ。
「それで収容所もある」
「碌なものじゃないですね」
「あんな国にいいところなんてな」
「本当にないですね」
「他にも拉致にテロに麻薬に偽札だよ」
「本物のならず者国家で」
「あそこにいいところなんてあるか」
それこそというのだ。
「一切な」
「ないですね」
「いいところがない国なんてそうないぞ」
「人もですね」
「あんな国と付き合いなんて持ったら駄目だ」
「行くどころか」
「ああ、日本は国交なくて何よりだよ」
「うちの会社はグループ単位でないですし」
八条農業も傘下に収めている八条グループである、世界的な企業グループとして世界各地でビジネスを展開している。
「いいですね」
「ああ、それだけでな」
「いいことですね」
「あんなところが好きだとな」
それこそというのだ。
「変態だぞ」
「絶対におかしな奴ですね」
「明日のジョーどころかな」
小倉は軍司に言い軍司も頷いた、そうしてだった。
仕事をしているとその中である注文が来たが。
「あの、メロンの注文ですが」
「メロンか」
「夕張の特上の」
そちらのというのだ。
「注文先が怪しんですよ」
「ヤクザ屋さんか?それでも注文されたらな」
どうかとだ、小倉は軍司に返した。
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