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ハッピークローバー

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第百六十九話 旅行その十

「性根はね」
「屑だったわね」
「やけに乱暴で馬鹿なことばかりして」
「言ってることもね」
「何この馬鹿って感じで」
「ヤクザ屋さんみたいだったわね」
「ファッションもね」
 こちらもというのだ。
「ヤクザ屋さんのもので」
「近寄りたくない感じだったわね」
「そもそも野球選手なのに」
 その仕事はというのだ。
「格闘家の筋肉付けてね」
「お門違いもいいところだしね」
「野球選手だとね」
「野球選手の筋肉付けないとね」
「僕達だってね」
「そうそう、陸上やるなら」
 まさにとだ、理虹は言った。
「もうね」
「陸上選手の筋肉付けないとね」
「駄目よ」
「さもないと上手く動けないし」
「怪我するわね」
「だから格闘家のトレーニングして」 
 野球選手がというのだ。
「格闘家の筋肉付けても」
「意味ないわね」
「全くね」
 それこそというのだ。
「意味がないよ」
「そうよね」
「だから足が遅くなって守備も悪くなって」
 そうなりというのだ。
「怪我も多くなったんだよ」
「お門違いの筋肉付けたから」
「それで心もね」
「物凄く悪くなったわね」
「人相にも出てね」
「巨人に入ってから滅茶苦茶悪くなったわね」
「ああいうのは最低だよ」 
 実に忌々し気に言い切った。
「あいつみたいなのは」
「身体鍛えてもね」
「ファンの感謝祭でお客さん達の前で若手の選手に体当たりしたり」
 本人は遊びのつもりでやっていたかも知れないがこうしたことを実際に行う『球界の紳士』とやらであったのだ。
「人の車の上に乗って飛び跳ねて壊したり」
「他にも女遊びしたりね」
「覚醒剤もやってね」
「性根最低だったわね」
「身体を鍛えても」
 それも間違った鍛え方であった。
「心は鍛えなかった」
「そのサンプルよね」
「あいつはね、ああなったらね」 
 それこそというのだ。
「終わりだよ」
「本当にそうね」 
 理虹も完全に同意だった。
「あいつみたいになったらね」
「どうにもならないよ」
「人としてね」
「だからあいつみたいにならない様に」
「心ね」
「言うこと変えるけれど身体を鍛えても」
 それでもというのだ。
「そこでね」
「心も鍛えないとね」
「駄目だよ」
 そうだというのだ。 
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