世界の礎
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第十七話 地下世界掌握その三
「一切な」
「それが国力を増やすことになるので」
「いい、よく食いだ」
「よくですね」
「そうしたことも行いな」
そうしてというのだ。
「子供をもうけることだ」
「それも多く」
「そうだ、そういえばこの世界の人は皆胎生だな」
このこともだ、義青は話した。
「種族に関わらず」
「はい、哺乳類がはじまりでなくとも」
ダラムはそれでもと話した。
「人として進化するならで」
「卵生の生きものから進化してもな」
「誰もが子をそのまま産む様になっています」
「卵でなくな」
「そして体格の多少の違いがあれど」
種族によってだ。
「ですがその差は決して大きくない」
「その程度になっているな」
「そうした意味で人はです」
どういった種族でもというのだ。
「あまりです」
「違わなくなっているな」
「左様です」
まさにというのだ。
「人間が全体の二割で一番多いですが」
「人間以外の人もな」
「さしてです」
こう言っていいまでにというのだ。
「違いはありません」
「そうだな」
「個人の努力で」
それ次第でというのだ。
「埋められる差でしかないです」
「そうだな、そのことがわかった」
義青はダラムに答えた。
「この世界に来てな」
「そうなのですね」
「そしてだ」
さらに話した。
「種族間での優劣なぞ言ってもだ」
「意味がないですね」
「共に暮らせるだけの能力と知能があるのだ」
どの種族でもというのだ。
「そして体格もな」
「同じですね」
「フェアリーや小人でもだ」
小柄とされるこの種族の者達もというのだ。
「人間やエルフの子供位の体格で大柄な種族もな」
「ミノタウロスやサイクロプスですね」
「その者達もな、極端にはな」
「大きくないです」
「二メートルを越える位だ」
彼等の体格はというのだ。
「だから小人もサイクロプスもだ」
「共に暮らせます」
「子供は同じ種族間でないと出来ないが」
それでもというのだ。
「変わらない」
「人は」
「そのことは明らかだ、だからだ」
「帝国ではそうした偏見を否定していますね」
「そうだ、しかしだ」
ここで義青は目を顰めさせた、そして声を苦いものにさせてそのうえで忌々し気に語ったのだった。
「そのことがわかっていない愚か者もいる」
「はい」
ラダメスが応えた。
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