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情熱的旅行

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第三章

「実際な」
「好きだよな」
「それでもな」
「そういうのじゃなくてな」
「本物の恋愛を知りたかったんだよ」
 その旅行でというのだ。
「俺はな、それがな」
「出来なかったか」
「ああ、織部さんには感謝してるけれどな」
「好意で紹介してくれたしな」
「そうだよ、けれどな」
 それでもというのだ。
「そうしてな」
「出会いはなくてか」
「ああ」
 それでというのだ。
「結局いつも通りだよ、そうした意味では残念だよ」
「楽しめてもな」
「それでもな」
「肝心のことは駄目だったか」
「そのことだけは残念だよ」
「人生ままにならないな」
「どうもな」 
 こう言うのだった、そしてだった。
 沢田は友人にだ、こう言った。
「あらためてな」
「出会いを求めるんだな」
「ああ、好きな人が見付かって欲しいよ」
「恋愛でな」
「そうだよ、だからな」
 それでというのだ。
「合コンも出てな」
「探すんだな」
「そうするな、婚活だってな」
 こちらもというのだ。
「するな」
「頑張れよ」
「ああ、そしてな」
 友人にさらに話した。
「何時かな」
「素敵な恋愛をしてか」
「結婚もな」
 これもというのだ。
「するな」
「いい年だしな」 
 友人は彼の言葉を受けてこう返した。
「お互いな」
「お前は結婚してるけれどな」
「お前は独身だしな」
「花のな。だから風俗も行けるんだ」 
 こちらもというのだ。
「結婚したらやっぱりな」
「浮気は駄目だからな」
「ああ、しかしな」
「それでもだな」
「今回はそうだった、俺も何時かそんな出会いがあるか」
「そこは神様次第だな」
「じゃあ今度恋愛成就の神社にお参りするか」
 お寺にも行ってキリスト教の教会にも天理教のにも、兎に角神様仏様に願おうと思った。そうして実際にそうするとだった。
 暫くして両親が見合い話を持ってきた、これがまた彼好みの外見でしかも性格美人だった。彼は一も二もなく頷いて相手の女性もそうであり。
 めでたく幸せになれた、それでもう風俗には行かなくなった。夫婦での生活を満喫しつつ働いて充実した日々を過ごしていったのだった。旅行に行ってもそれは変わらなかった。


情熱的旅行   完


                   2025・1・14 
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