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乗っ取るつもりが

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第三章

「いつも凄くよくしてくれて友久さんもね」
「思っていたよりいい人だったんだな」
「結婚したら」
「皆いい人でいつも凄く優しくしてくれて」
「特に友久さんがか」
「だからか」
「ええ、もう乗っ取るなんてね」 
 そうしたことはというのだ。
「いいかしら」
「そうなのか」
「そう言うのね」
「それでね」 
 愛はさらに話した。
「このままね」
「乗っ取るとか考えずにか」
「暮らすのね」
「それにね」
 両親にお茶とお菓子を出して一緒に飲んで食べつつ話していった。
「もう私満足しているから」
「今の状況にか」
「そうなっているのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「乗っ取るとか考えないで」
「今でいいか」
「そうなのね」
「ええ、幸せなら」 
 その中にいればというのだ。
「そんな乗っ取ってお金と地位とか」
「いいか」
「もう興味がないのね」
「考えてみれば」 
 愛は話を続けた。
「私お父さんとお母さんがいてずっと幸せに暮らしているし」
「少なくとも粗末にしていないぞ」
「大切に育てたつもりよ」
 両親も言った。
「大事な娘だから」
「それでな」
「大学まで行かせてくれて」
 そうしてというのだ。
「そして今も実家に帰ったら大切にしてくれるし」
「いいか」
「そうなのね」
「ええ、最初から幸せだし」
 そうであってというのだ。
「そんなもの求めなくてもね」
「よかったか」
「今はそう思うのね」
「ええ、お金や地位よりもね」
 そうしたものよりもというのだ。
「幸せがね」
「大事だな」
「今はそう思うのね」
「だからね」
「本家さんでか」
「幸せに暮らしていくのね」
「そうしていくわ」
 こう言ってだった。
 愛は本家の妻として周りから大事にされ過ごしていった、すると彼女も他の人を大事にしいい人と言われてだった。
 幸せに暮らしていった、彼女が金や地位のことを言うことはなかった。人のことを考えて世に尽くすのだった。


乗っ取るつもりが   完


                     2024・12・12 
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