世界の礎
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第十五話 大金をかけその五
「戦に勝とうともだ」
「それではですね」
「最悪のことになる、私は民には手を出さないな」
「決して」
「戦うのは軍人だけでいい」
あくまでというのだ。
「だからだ」
「その爆弾はですね」
「使わない、軍にも原子力を用いるが」
それでもというのだ。
「原子爆弾はだ」
「用いずに」
「製造、開発はしてもな」
そうするがというのだ。
「何があろうともな」
「用いないのですね」
「私にその考えはない」
全くという言葉だった。
「少なくともな」
「では敵が強くとも」
「使ってはならない」
「そうですか」
「そのことを言っておく」
こう話した。
「その地を使えなくしてだ」
「何になるのか」
「戦は政だ」
その中にあるものだというのだ。
「だからだ」
「戦に勝とうとも」
「手に入れた場所は使えなくてはな」
それではというのだ。
「どうにもならない」
「左様ですね」
「だからだ」
その為にというのだ。
「私は原子爆弾は使わない」
「開発してもですね」
「また製造してもな」
そして所持してもというのだ。
「用いない」
「決して」
「そうする、しかしな」
ここで義青はこうも言った。
「何処かどの生きものもいない場所でだ」
「用いますか」
「それを他国への力の誇示にはな」
帝国のそれのというのだ。
「用いるか。そこに模型の街でも設けてな」
「吹き飛ばすのですね」
「死刑囚も入れてな」
「死刑囚もですか」
「凶悪犯だ」
義青は冷たく言った。
「だからな」
「実験材料にしても構わないですね」
「そうだ」
法務大臣のアスに答えた。
「全くな」
「だからですね」
「容赦なく使うのだ」
「魂も消し去りますね」
「外道を復活させる必要はない」
義青はこれまた冷たく言った。
「だからな」
「魂も消し去りますね」
「そうする、凶悪犯には容赦しない」
「これまで通り」
「他者の人権を害する輩の人権は不要だ」
きっぱりと言い切った、義青のこの考えには揺るがないものがありそれは誰もが知っていることだった。
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