| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

四月はよくても

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四章

 家に帰ってだ、月刊カープを読みつつ家に帰ってきた兄に言った。
「春先だけじゃって皆言うわね」
「こっちもだよ」
 兄は憮然として返した。
「ファンなら信じて欲しいよ」
「こっちはカープファン私だけだから」
「言われるだけか」
「皆嫌ってくれてないけれどね」 
 それでもというのだ。
「背番号八誰かって聞いたら」
「サトテルさんだろ」
「誰も浩二様って言わないから」
 山本浩二、ミスター赤ヘルとだ。
「お世辞でもピーコともね」
「何でピーコだったのかな」
「ああ、似てたからなの」
 兄に即座に答えた。
「浩二様がおすぎとピーコのピーコさんにね」
「だからか」
「実際似てるでしょ」
 二人の画像をそれぞれジブンノスマートフォンに兄に出して話した。
「そうでしょ」
「似てるな」
 寿も確かにと頷いた。
「お二人は」
「現役時代は違ったけれど」
「監督さんになってからか」
「二期目ね」
 カープの監督に就任したというのだ。
「その時にね」
「サングラスの形と色にな」
「お顔立ちにね」
「お顔の形もな」
「体形までね」
 そこまでというのだ。
「似てたから」
「ピーコって言われたんだな、あの人」
「そうだったのよ」
 これがというのだ。
「本当にね」
「そうだったんだな」
「そう、そして」
 そうであってというのだ。
「お世辞にもね」
「そうも言われないでか」
「サトテルさんよ」
「八番っていうとな」
「そんな中にいるから」
 千佳はというのだ。
「私は孤独なのよ」
「応援するチームだけはか」
「そうよ、絶海の孤島にいるのよ」
「周りは阪神ファンばかりでな」
「それでその孤塁を守る中でね」
 そこでというのだ。
「私は言われてるのよ」
「去年の九月のことをか」
「そりゃ私だって落ち込んだわよ」
 千佳自身もというのだ。
「去年のことはね」
「あそこまで負けるとな」
「何でこうなったのってね」
「朴も優勝するって思ってたよ」
 寿にしてもだ。
「うちがしたいと思っていてもな」
「その勢いだったわね」
「それが殆ど勝てなくなったからな」
「最下位のチームでもあそこまで負けない位ね」
「負けたな」
「それで優勝どころか」
 それどころかというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧