だからってなんだよー 私は負けない
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6-5-3
朝、6時過ぎに起きて行くと、ダイニングでお義父さんとお義母さんにお爺さんが、朝ご飯の途中だった。
「おはようございます」と、挨拶をすると
「すぐりちゃん おはよう ごめんなさいね あなた達の朝ご飯 まだ 用意してないのよー もう直ぐ珠実が起きてきるからー」
「あー 気になさらないでください 私 いつも これっくらいに起きるので・・・」
「すぐりちゃんは 朝は ご飯なの?」と、お茶を出してくれながらー
「色々です ご飯とお味噌汁の時も パンの時も じゃがいもだけの時も・・・」
「うふっ そーぅ 今日は 珠実に任せたから きっと パンと何かなのよ」
それから、7時前にお義父さんは出勤していって、おじいさんは厨房に出て行ったのだろう。そして、珠実さんが起きて来て、キッチンに立って居た。
「朝はパンとスクランブルエッグね」
「あっ あ 私 何かお手伝いを・・・」
「いいの 食べ終えたら、おにぎり作るの手伝ってちょーだい みんなのお昼用」
そのうち 耀が起きて来て
「おはよう まだ 準備始まんないのか?」
「なに 呑気なこと言ってるんよー これから、みんなのおにぎりするの! お兄ちゃん 駐車場係ね 早い人は10時頃から来るよ」感謝祭の開始は11時からと聞いていた。
おにぎりを仕上げて、珠実さんの部屋に連れて行かれて、真っ赤なミニワンピースに着替えて、眼元をお化粧して、唇も紅く塗られていた。そして、日焼け止めのクリームも。最後には、お尻のところに白いボンボンを張り付けられて、ウサギの耳のヘァバンドを留められて、完成なのだ。可愛いけど、確かに少し恥ずかしいのかも・・・。珠実さんのスニーカーを借りて、お店に出て行くとオーナーが
「あっ ・・・ 昔の 清音と明璃ちゃん みたい・・・すぐりちゃんって 雰囲気が明璃ちゃんそっくり」
そして、表に出て行って、私と珠実さんの担当は輪投げなのだ。大人用と子供用のがあって、並べられたビールの空瓶に輪が入れば、お菓子をプレゼントするのだ。離れたところでは、おじいさんと武チーフにオーナーが、ハンバーグとバンズを焼く準備をしていて、ハンバーガーが無料らしかった。横には、蜂蜜レモン水とオレンヂジュースも置いてあった。お店の中では、ドーナツの料理教室を兼ねて、それぞれの好きな形に作ったものを厨房で揚げて、その場で食べれるのだ。それ以外では、お年寄りが折り紙を教えるスペースもあるといった具合だった。お店の入り口には清音さんがスタンバイしていて、来た人達を案内するのだろう。
案の定 10時すぎに、小学生らしき女の子とその妹だろうかお母さんと一緒に来たのを皮切りにポチポチと来る人が増えてきたのだ。私達のところにも、最初に男の子がやってきて
「やって良いの?」
「まぁーだ 11時からね」と、珠実さんはきっちりしていたのだが
「いいじゃん うさぎのおばさん もうすぐ11時だよー」
「うぅー 今 なんて? おばさん…? 君の お母さんは? ひとりなの?」
「ちゃうよー ママはミーちゃんとお店の中に行ったよ」
「じゃぁ 君も そっちに行きなさい また あとでね! 《《おねえさん》》は待ってるからね」と、珠実さんに睨まれて、私は 後ろのほうで笑いをこらえていたのだ。
開始予定の11時になると、ぞくぞくと車が入って来て、12時には停めるところがなくなって、耀は自宅の前の空地に案内をしていた。輪投げの方も、子供達が並び始めていて、大人がやる余裕も無かったのだ。ハンバーガーも事前に焼き始めていたのだけど、もう順番待ちで10人ぐらいが並んでいるのだ。清音さんも、空いている所に振り分けているんだけど、どこも混雑していた。だけど、オーナーはバーガーのほうはお店の女の人を手伝いに連れてきていて、自分は並んでいる人達に冷たいお絞りを配りながら、呑気に笑いながら世間話のようなことをしていたのだ。
そのまま並んでいる人は終了時間の3時近くになっても、途切れることなく、私たちの輪投げは一区切りがついていたのだけど、ハンバーガーは、まだ並んでいて、用意していたバンズが無くなってしまって、オーナーは急遽 ドーナツにハンバーグを挟むといったふうに対応していた。だけど、私は無料とは言え、いろんなとこで、手の足りない従業員の人を手伝っているお客さんの姿も見ていて、こんなに多くの人達に愛されているナカミチの実力に驚いていたのだ。
3時を過ぎて、片付け始めた時、耀が「もう いいよ シャワーして着替えて来いよ 帰りの電車に間に合わないよ」と、言ってくれて、シャワーを浴びて白いワンピースに着替えて出て来ると、オーナーと珠実さんが
「今日は ありがとうね 手伝わせてしまってー 助かったわー」
「いえ 私 何にも出来なくてー」
「ううん 見ていると 子供達にも親切に・・・人気あったみたいよ あのね 一度 すぐりちゃんのお母さんにも ご挨拶に伺わなければネ 知らんぷりもできないからー」
「あっ はぁー」と、耀と一緒に出て来て、駅近くの前にも行ったことのあるカウンターのレストランに入った。開店間際で、他にお客さんは居なくて
「あらっ 耀ちゃん 感謝祭に行ってたの? すぐりちゃんも?」
「うん 昨日 来てな・・・光瑠さん 僕等 結婚すること決めたんだ」
「えっ あら そう お似合いよー ・・・だけど・・・ すぐりちゃん まだ・・・」
「そう 来年 卒業したらね」
「そう 早い・・・」
「うん 反対もあるけどね なんとか」
「美鈴でしょ? 年の差のこともあるからかなー 最近 頑固なとこあるよねー でもね ウチも年は離れているから 経験者として、フォローしておくよ とにかく おめでとうね」
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