世界の礎
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第十四話 起きた世界でその七
「今日もな」
「決まった時間で働く、ですね」
「勤務時間は守る」
「八条グループの方針ですね」
「だから総帥もだ」
義康、彼もというのだ。
「お仕事を九時にはじめられてな」
「六時に終えておられますね」
「残業すればいいか」
義青は言った。
「長い時間働けばな」
「そうではないですね」
「そうだ、定められた時間の中でだ」
「出来る限りのことを行い」
「結果を出すのがな」
それがというのだ。
「仕事だ、また過剰労働はな」
「心身を疲弊させてですね」
「よくない、福利厚生もだ」
「充実させる」
「所謂ホワイトな経営こそがだ」
世間で言われているそうしたものこそがとだ、義青は自身の秘書である青年に対してさらに話した。
「最もいいのだ」
「企業にとってもですね」
「ブラックだとな」
経営の在り方がというのだ。
「社員が疲弊してな」
「潰れていきますね」
「それが悪評にもなりな」
「企業に悪いイメージが付き」
「そしてだ」
「そのまま傾くことになりますね」
「世間の評判が落ちるとだ」
そうなればというのだ。
「それだけでだ」
「企業にとってマイナスですね」
「それで倒産もある」
「ブラック企業は長続きしない」
「人を大事にせずしてだ」
そうでなくてはというのだ。
「何故人が集まる、そしてだ」
「評判がよくなるか」
「そんな筈がない、評判が落ちるとな」
そうなればというのだ。
「どういった企業もだ」
「傾きますね」
「個人もな、真性の悪人は悪評が立とうともな」
「それでもですね」
「そうだ、気にしない」
「それは何故でしょうか」
「自分しかないからだ」
真性と呼ぶべきまでの悪人はというのだ。
「まさに私利私欲のみで動き」
「悪事を行いますね」
「どういった卑劣で非道な悪事もな」
「自分の為だけに行い」
「悪評が立とうともだ」
その悪事が露見してだ。
「平気でな、訴えられてもだ」
「平気ですか」
「実刑判決を受けてだ」
その裁判でというのだ。
「牢屋にでも入らないとな」
「平気ですか」
「その様な輩が企業を経営するとな」
「人を人と思わず」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「ブラック企業としてな」
「悪事が露見しても平気であり」
「自分は平気でもだ」
悪評が立ってだ。
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