磨くところは色々
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第一章
磨くところは色々
OLの緑川満里奈は肌に気を付けている、色白できめ細かいそれを。童顔で丸顔で胸は大きい。黒髪は長く腰まである。
「あんた本当にお肌気を付けてるわね」
「荒れるとね」
同僚で同じ歳の桃谷美奈代に話した。美奈代は茶色にしている長い髪をパーマにしていて二重の切れ長の切れな目をしている。細面で唇は大きめで胸は満里奈と同じ位大きい。背は二人共同じ位だが美奈代の方が年上に見える。
「嫌だから」
「そうなのね」
「そう言うあんたも」
会社の更衣室で制服に着替えつつ話した。
「髪形気を付けてるわね」
「昔から凝る方で」
美奈代はそれでと話した。
「今だってね」
「パーマにしてるわね」
「ええ、けれどね」
それでもというのだ。
「これでも傷めない様にね」
「気を付けてるの」
「そうなの」
自分の髪の毛をというのだ。
「私としてはね」
「そうなのね」
「あんたはお肌で」
「あんたは髪の毛ね」
「お互い違うわね」
「気を付けてるところはね」
そして手入れを忘れていない部分はというのだ、二人で話した。そしてそうした話の後で出勤したが。
ある日だ、二人は取引先の会社の社長日下部晋作に笑って言われた、大柄で逞しい身体つきの彫のある顔立ちの初老の男で髪の毛は一本もない。
「いい頭だろ、若くしてこうなったんだ」
「そうですか」
「そうなんですね」
「そうした家系でな、それでな」
その頭を撫でつつ笑って言った。
「いつも手入れしているんだ」
「頭を」
「そうされていますか」
「ピカピカになる様にな」
見れば確かに輝いている。
「頭に栄養をやってな、奇麗になる様にな」
「お手入れもですか」
「されていますか」
「かえって二度と生えない様に」
髪の毛がというのだ。
「願ってもいるよ」
「あの、それなら」
「伸びられますと」
「その時は剃るさ」
そうするというのだ。
「そしてな」
「そのうえで、ですか」
「スキンヘッドのままでいる様にですか」
「するよ、そしてな」
そうしてというのだ。
「輝く頭をな」
「手入れもされて」
「守りますか」
「そうしていくよ」
こう言うのだった、そしてだった。
彼は二人にだ、こうも言った。
「頭の輝きが落ちるから煙草もな」
「吸われないですか」
「そうなんですね」
「私達もそうですが」
「煙草は」
「煙草は身体に悪いからな」
それ故にというのだ。
「頭の輝きも落ちるしな」
「ですね、お肌にも悪くて」
「髪の毛にも」
満里奈も美奈代もそれぞれが気を付けている部分の話をした。
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