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関西弁で通す

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第一章

                関西弁で通す
 東京に出張してもだ、大阪で働いている林葉菫大きな二重の切れ長の目に濃い太めの大きな眉と紅の小さめの唇を持つ彼女は関西弁だった。すっきりとした頬で黒髪は長く一六〇位の背で胸はかなり大きい。
「私生まれも育ちも大阪でして」
「大阪で働いて暮らしているからなんだ」
「もうです」
 東京で一緒に仕事をしている辻慎吾に話した、辻は穏やかな顔立ちで色白で細面だ。一七〇位の背dで黒髪は短くすらりとしている。
「こっちでもです」
「関西弁なんだ」
「それでええですよね」
「別にいいよ」
 辻は特に言わなかった。
「僕はこっち生まれだけれどね」
「東京ですね」
「けれど個性だしね」
「方言も」
「いいよ、しかし」 
 辻はそれでもと話した。
「関西の言葉も独特だね」
「そうですね、こっちとはちゃいますね」
「そのちゃいますって言葉もね」
「はい、ほな東京にいる間も」 
 菫は関西弁であった、東京にいる間ずっとだった。特にそれで困ったことはなかった。だがその彼女が言った。
「いや、東京に来て困るんは」
「言葉じゃないよね」
「これはこのまま通しますから」
 だからだというので。
「ええです、食べものが」
「ああ、そっちだね」
「困ります」
「違うからね、東京と大阪じゃ」
「おうどんとか焼きそばとかおかずにせえへんですね」 
 東京ではというのだ。 
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