思わぬお見合い相手
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第二章
南郷はまさかと思ってだ、工藤に聞き返した。
「嘘みたいですね」
「そう思うかな」
「はい」
そうだと答えた。
「流石に」
「昔の大地主のお家でね」
「そのご令嬢ですね」
「今は地元で結構な数のマンションやアパートを持っていて」
「田畑も持っている」
「そうしたお家の次女さんだよ」
そうした家の人だというのだ。
「その人とだよ」
「私がお見合いですか」
「あちらもね」
相手の方もというのだ。
「何かとだよ」
「体面がありますか」
「体面なんて関係ない」
工藤はここでこうも言った。
「そうは言ってもね」
「ありますね」
「特に幹部自衛官にだよ」
「そうしたお家ですと」
「あるから」
とりわけというのだ。
「それでだよ」
「私もですね」
「受けてもらって」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「それ次第で、ですね」
「まあはっきり言うと」
工藤は冷静に述べた。
「受けると言った時点でだよ」
「決まりですね」
「そうだよ、そして写真は見たね」
お見合いのとだ、工藤は南郷に問うた。
「お相手の」
「そうさせてもらいました」
「美人さんだね」
「かなりの」
「しかも性格もいいそうだし」
「悪いお話ではないですね」
「あちらさんも君の写真を見て頷いたそうだし」
相手の方もというのだ。
「後はお見合いをすれば」
「決まりですね」
「そうだよ、幹部自衛官は士官だ」
「士官ならですね」
「他国の軍人とも付き合いがあって」
そうであってというのだ。
「外交官でもあるんだ」
「体面がありますね」
「そう、それを考えると」
体面をというのだ。
「身を固めることも必要でだ」
「お相手もですね」
「確かな人になる」
「うちは普通のサラリーマンの家でしたが」
南郷は自分の家の話もした。
「それがですね」
「士官ならだよ」
「そうもなりますか」
「そうだ、ではお見合いをしてくれ」
工藤は微笑んで告げた、そして南郷はお見合いをしてそれで結婚することになった。そして後で工藤もお見合いで結婚して今の家庭を持っていることを知ったのだった。
思わぬお見合い相手 完
2025・4・17
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