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科学も進むもの

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第二章

「そうだよ、だから今の科学の知識が絶対でな」
「正しいとはか」
「考えないことだよ、若し考えたら」
 その様にというのだ。
「学問的じゃないしな」
「科学的でもないか」
「そうだよ」
 まさにというのだ。
「本当にな」
「そうして科学も進歩していくか」
「間違いがわかったり新発見があってな」
「そういうものだな」
「他の学問と同じでな」
 最上は井原に真剣な顔で語り井原も頷いた、このことは井原にとって忘れられないこととなり彼は今の科学の知識が絶対だと思わない様になった。
 だがとある今の科学から漫画やアニメの科学の設定、未来のものも含めて出来ないとか無理だとか言って悦に入っている本のシリーズを読んでだった。
 そのうえでだ、最上に話したが最上も言った。
「あのシリーズは全然科学じゃないだろ」
「今の科学を絶対と思っているからな」
「漫画やアニメでもな」
「今の科学じゃ説明出来ないな」
「そうだよ、ドリトル先生と同じだ」
 井原が読んでいた小説と、というのだ。
「本当にな」
「今の科学の知識だってな」
「古くなってな」
「間違いもわかるな」
「そんなこともわかっていないからな」
 だからだとだ、最上は井原に大学の図書館の中で話した。
「あのシリーズはな」
「科学と言いながらだな」
「あんな非科学的なものはないさ」
「じゃあ読むだけ無駄だな」
「ああ、誰の何の役にも立たない」
「カスみたいなものだな」
「カスそのものだ、今の科学で未来の科学なんて語れるか」 
 それこそというのだ。
「どうなるかわからないからな」
「そうだな、ロフティングさんの知識は古くても」
「未来の科学は否定しなかったな」
「そんなことは考えもしなかったな」 
 作品を読む限りとだ、井原は答えた。
「希望は持っていてもな」
「だったらあのシリーズとは比べものにならないさ」
「全くだな」
 最上の言葉に頷いてだった。
 井原は以後そのシリーズを一瞥することもしなかった、無駄だと確信したからこそ。そのうえで科学について考えていきそれが彼の人生で大きな糧の一つになったのだった。


科学も進むもの   完


                   2025・4・16 
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