八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七百九十四話 本物の悪党その五
「小悪党ってね」
「歴史に学ばないで」
「経験にもね」
「周りにもね」
即ちあらゆることからだ。
「それで勝手にね」
「自分は頭いいとか思って」
「人の目も気にしないで」
「後世でどう思われるかも気にしないで」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「悪いことするのよね」
「ばれないと思って」
「若しくはばれても訴えられないと思って」
「訴えられないと有罪にならない限り平気」
「有罪になっても刑務所に入らないと大丈夫」
「つまりあれね」
ジュリアは二人の話を聞いて言った。
「自分しかないから悪いことしても平気で」
「評判も気にしない」
「人の目もね」
「そういう奴ってことね」
アロアとジュディに話した、小悪党は自分自身はどう思っていてもその実はそうした輩であると認識してのことだ。
「それじゃあ私利私欲を貪るだけで」
「それだけでね」
ジュディもこう返した。
「自分を磨こうともね」
「しないわね」
「悪知恵を私腹を肥やすことだけ熱心で」
「いいものは得ようとしない」
「興味もなくて」
「ただひたすら悪くなるだけね」
「それこそね」
まさにというのだ。
「そうであってね」
「周りから嫌われて」
「癌に思われて」
「それで果てはね」
「破滅よね」
「そうなって終わりね」
「確実に」
二人で話した。
「教養もないし」
「そういうのに興味なくて」
「信仰もなくて」
「道徳も当然ないし」
この時代でも信仰から道徳が生まれる部分が多いと考えられている、そうであるからこそ宗教は必要だというのだ。
「美徳なんてなくて」
「善性もね」
「それでそんな風だから」
アロアはそれでと話した。
「周りから嫌われるわね」
「いい部分がないとね」
「自分だけで」
「当然嫌われるわね」
「そうならない方がおかしいわ」
「例え馬鹿な人達は騙せても」
それでもというのだ。
「普通の人は騙せないし」
「何よりもね」
ジュリアは強い声で言った。
ページ上へ戻る