博士の挑戦状
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第二百三十七話
第二百三十七話 待遇がいいので
博士の話を聞いてだ、小田切君は紅茶を飲みながら答えた。飲んでいる紅茶は博士と同じブランデーティーである。
「確かに博士と一緒にいると滅茶苦茶です」
「歴代の助手は皆そう言う」
博士は紅茶を飲みつつ答えた。
「わしはそうだとな」
「やっぱりそうですね」
「常識がないとな」
「博士は人間じゃないですからね」
小田切君はそもそもと話した。
「二百億年生きておられる」
「ビッグバンの頃からな」
「もっと言えばその前からですね」
「パラレルワールドを管理する者の一人じゃ」
「葉の一枚一枚が宇宙の」
「それを管理しておるな」
そうしたというのだ。
「そのうちの一人じゃ」
「そうですよね」
「だから人間ではない」
「俗に言う神様のお一人ですか」
「神だと柱になるな」
こう小田切君に返した。
「それは」
「そうでしたね」
「まあ兎に角人間ではない」
博士は自ら言った。
「だから火との常識はじゃ」
「関係ないですね」
「そのわしと一緒におるとな」
「大変です」
小田切君はまた言った。
「本当に」
「そうであるな」
「そのことがあってですか」
「採用する助手の待遇は最大限じゃ」
「いいんですね」
「その時代でな。金はどうとでもなる」
支払う給料のそれはというのだ。
「わしはな」
「賢者の石とかで出せますね」
「だからな」
それでというのだ。
「待遇もよいのじゃ」
「そういうことですね」
「うむ、だから小田切君もじゃ」
「待遇はいいですね」
「雇用主として最大限のことはする」
博士は言い切った。
「わしの美学じゃ」
「そうですね」
小田切君も頷いた、そのうえでまたブランデーティーを飲むがこの紅茶は実に美味かった。
第二百三十七話 完
2025・1・17
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