世界の礎
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第十一話 義務教育その十二
「そうさせる、全ての帝国の民は法の下に平等だ、私もだ」
「先に言われた通りに」
「法の下にある」
「そうなのですね」
「私が国を治めていてもな」
「法はその上にありますか」
「誰かが法を守らなくていいなら」
そうであるならとだ、義青あその場合についても話した。
「その国に法はなくなりな」
「無法となりますか」
「無法は壊れる」
「その国が」
「やがて誰も守らなくなりな」
法をというのだ。
「そうなりな」
「国が壊れますね」
「法も国もない世はどうだ」
義青は問うた。
「秩序もない、何もない」
「そうした世はですか」
「完全に自由というがな」
「それは獣の世です」
すぐにだ、コムが答えた。
「そうした世は」
「まさにそうだな」
「完全な自由といいますが」
「そんなものはないな」
「すぐに暴力を持つ者が出て」
「その輩がやりたい放題行うな」
「そうなります、そうした世はです」
コムは顔を顰めさせて述べた。
「その輩が絶対であり」
「その輩が法でありな」
「その輩だけのものになる」
「暴君が支配するものになる」
「そうなります」
「そうだ、だから法は絶対に必要でな」
そうであってというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「誰もがその下に平等でだ」
「悪人を裁き」
「私も守る、その法治もこの世のだ」
「礎ですか」
「そうする、文字や度量衡や貨幣を統一しても」
そうしたことも行いというのだ、事実義青は政の中でこうしたものを全て帝国にした地域に導入させている。
「それだけでは足りない」
「法もですね」
「もたらす、そしてだ」
「世界の礎を築かれますね」
「今もそうしていてな」
かつというのだ。
「これからもだ」
「左様ですね、では」
「これからも治めていく」
都において語った、そうしてだった。
義青は新たに都にした地域から統治を行い領土を拡大していった、そうして世界の礎をさらに築いていくのだった。
第十一話 完
2025・1・8
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