科学少年少女
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第二章
二人は頑張っていった、その結果だった。
高校は県内でも理系が強いことで有名な進学校に進みそこでも成績特に理系が優秀で二人共工業大学に進み。
気付けば大学院で博士号まで取って研究員として有名になったが。
二人は変わらなかった、兎角だ。
科学の本や論文漫画まで読み耽ってだった。
実験をしてだ、何かを造り。
科学漬けの毎日だった、二人は結婚して夫婦になったが共にだった。
二人で暮らしつつもやはり科学漬けの日々だった、世界的に有名になってもそうであってある若い科学者が秀樹にインタビューの時に尋ねた。
「あの、どうしてそこまで科学に没頭しておられるんですか?」
「いや、実はね」
秀樹は笑顔で話した、既に初老になっていて背は一七〇を越えて顔には皺があるが子供のころの面影は残っている。
「子供の頃妻と一緒に科学の本を読んでね」
「そうしてですか」
「その漫画が兎に角面白くてね」
若い科学者に笑って話した。
「それからだよ」
「科学を知られて」
「夢中になってね」
そうしてというのだ。
「今もだよ」
「科学がお好きですか」
「この世で一番ね、こんな面白いものはないとね」
「お考えですか」
「読んで面白くて」
科学はというのだ。
「実験をしてみても何かを造ってもね」
「面白いので」
「科学には夢が詰まっているんだ」
こうも言うのだった。
「子供のね」
「子供のですか」
「だからいいんだ、僕は今も子供なんだよ」
自分で言うのだった。
「科学は大人の難しいものじゃないんだ」
「子供の夢ですか」
「そう、だからね」
「博士は、ですか」
「子供のままだよ、ずっと科学に夢中な子供だよ」
自分で言うのだった、そうして若い科学者に自分が思う科学とはどういったものか話した。そして家に帰ってもだ。
妻の恵子、やはり年齢を重ね髪の毛が白くなって皺もあるが子供の頃の面影が残っている彼女に若い科学者のと会話を話した、すると。
恵子もだ、笑顔で言った。
「その通りよ、科学はね」
「大人の難しい学問じゃないよ」
「子供の夢よ」
「どんな不思議なことも出来る」
「そうしたものよ」
「そうだね」
「だからどんどん学んで」
そうしていってというのだ。
「楽しんでいるだよ」
「子供の心でね」
「そうだよ、難しいものではなく」
「楽しいものでね」
「それでね」
そうであってというのだ。
「これからもね」
「学んでいこう」
「そうしましょう、勿論日常のこともして」
「うん、私達の間には子供はいないけれど」
「家事もして日常生活も楽しんで」
「暮らしていこう、今度映画を観にいこう」
「そうしましょう、映画も科学が生み出したものだし」
「そちらもね」
「楽しんでいきましょう」
こう話してだった。
二人で化学を楽しんでいった、二人は自分達が言う通り子供の心のままだった。その心のまま科学を満喫していたのだった。
科学少年少女 完
2024・10・13
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