冷凍食品も侮れない
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第二章
「この味はな」
「商品はな」
親知は真面目な顔で話した。
「売れないと意味ないからな」
「会社にとってはな」
「店でもお客さん来ないと駄目だろ」
「その通りだ」
父はまさにという口調で答えた。
「それはな」
「それでだよ」
「冷凍食品もか」
「売れないと意味なくてな」
そうであってというのだ。
「売れる為にはな」
「美味しく作ってるんだな」
「どっかの新聞記者が主人公の料理漫画はな」
この漫画はというと。
「好き勝手言ってるけれどな」
「あんな漫画読んだら馬鹿になるぞ」
兄が言い切った。
「大体店でまずいからって暴れるなんてな」
「業務妨害だよな」
「だからな」
それでというのだ。
「あの漫画は信じるな」
「言ってること全部な」
「そうしろ」
「だから俺も言うんだよ」
弟は兄に返した。
「冷凍食品は美味いってな」
「実際に美味いしな」
「こっちも美味い様に考えてな」
仕事の話をするのだった。
「会議もして実際に作って試食して」
「お金もかけてるな」
「そうして売ってるんだよ」
「それだけにだな」
「ああ、売れる様にな」
「売れないと意味がないからな」
「会社としてはな、売れて収益を出さないとな」
そうしなければというのだ。
「会社が傾くしな」
「当然そうなるな」
父も言った。
「自明の理だ」
「そうなって最悪潰れたら」
「働いているお前等はどうなるか」
「そうだよ、そうした社会が嫌ならな」
「共産主義だな」
「ああ、けれど共産主義になれば」
「飯はただ作ればよくなるな」
父は冷徹な声で言った。
「国が言った通りの数な」
「食べるものだってな」
「そんなので美味いものが出来るか」
「そんな筈ないだろ」
親知は父の賢太郎に言い切った。
「もう食えればいいだけのな」
「まずいものになるな」
「実際まずかったらしいな、共産圏の飯は」
親茂もこう言った。
「ただ作って出すだけのな」
「そうだよ、その漫画どう見てもな」
「そっちの考えだな」
「あれだろ、原作者が元々活動家で」
「それもかなり極端のな」
「そんな頭の奴でな」
「ああしたこと言ってるな」
弟に話した。
「兎に角大企業とか文明が嫌いだな」
「大企業も努力しないとすぐに潰れるんだよ」
親知はこの摂理資本主義のそれを話した。
「簡単にな」
「それはラーメン屋もだ」
「美味いもの出す様に努力しないとな」
「潰れるぞ」
「会社もだよ。だから冷凍食品もな」
「物凄く努力して開発して売ってるからか」
「この通りだよ、そして何と言っても保存きくだろ」
親知は言った。
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