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太り過ぎた犬

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第二章

「どうにもならないから」
「ここはですね」
「少しずつね」
「ダイエットさせますね」
「そうしていこう」
「わかりまいた」
 マティスはマキシモの言葉に頷いてだった。
 そうしてだ、バールを少しずつ動かしていった。歳月はかかったが。
「ワン」
「今日も散歩行こうか」
「ワンワン」
「それじゃあね」
 マキシモは立っているバールに笑顔で応えてだった。
 彼を散歩に連れて行った、見れば。
「二年で二十五キロまで落としたな」
「十三キロですね」
「それで散歩も出来る様になったな」
「自分で歩いて」
 マキシモは自分と共に散歩させているマティスに答えた。
「首も動いています」
「随分よくなったよ」
「そうですね」
「犬はな」
 この生きものはとだ、マティスは言った。
「身体を動かすのが好きなんだ」
「だから散歩も好きですね」
「ああ、けれど」
 それがというのだ。
「ずっと動かさせないなんてな」
「間違っています」
「全くだ」
 苦い顔で言うのだった。
「どんな飼い主だったんだ」
「そう思いますね」
「普通の人間はな」
「全くですね、それでですが」
 マキシモはマティスにさらに話した。
「バールはまだ太っていますが」
「もっと痩せる様にしような」
「はい、身体を動かさせて」
「食事も普通にさせてな」
「もっと痩せてもらいましょう」
「そうしよう、適度な体重になったらな」
 マティスはそうなればと話した。
「もっと健康になるからな」
「そうあることですね」
「だからバールのダイエットはな」
「続けていきましょう」
「そうしたら健康になってな」 
 バール、彼がというのだ。
「幸せになるんだ」
「はい、ですから」
「ダイエットは続けよう」
「ワン」
 バールもここでそうしたいと答える様に鳴いた、そしてだった。
 自ら進んで歩いた、まだ太っているがそれでも自分で歩いていた。二人はそんな彼を見て自然と笑顔になったのだった。


太り過ぎた犬   完


                  2025・3・24 
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