素晴らしい家族を得て
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第一章
素晴らしい家族を得て
ずっとだ、ポール=グラハムは浜辺を見ていた。
「今日も見ているのね」
「ああ」
農家を営んでいる彼の日課は家の窓から浜辺を見ることだ、そこによく犬がいてそれぞれの家族と遊んでいるのだ、そのことを妻のブリットに言われ答えた。二人共初老で彼は顔の下半分を白いひげで覆われた白髪の初老の男だ、妻も髪の毛は白く共に眼の色はグレーである。息子は同じ農園で働いているが今は別の家で彼の家族と共に暮らしている。
「そうしているよ」
「今日のお仕事も終わったし」
「こうしてな」
「犬を見ているのね」
「どうしても気になってな」
「好きなのね、犬が」
妻は夫に問うた。
「そうなのね」
「いや、別に」
「そう言ってもわかるわ」
夫の本心はというのだ。
「だって家族だし」
「そう言うか」
「ええ、そうよね」
「それは。ただ家族に迎えるなら」
犬をとだ、夫は浜辺で彼の家族である少年と遊ぶ茶色の犬を見つつ話した、視線は犬から離れない。
「保護施設に行って」
「保護犬を迎えるのね」
「そうしようか」
これが彼の返答だった。
「それなら」
「それではね」
妻はその返答を受け取った、そしてだった。
施設で働いる友人に相談した、するとこう返事がきた。
「いい娘がいるから」
「紹介してくれるのね」
「ええ、女の子でね」
友人はまず性別から話してくれた。
「黒と白の毛でお口の周りやお腹の一部が白いのよ」
「そうした毛の子ね」
「大きな耳を持つ中型犬よ、人懐っこくて大人しくて優しいわ」
「性格いいのね」
「ええ、その娘でいいかしら」
「まずは会っていいかしら」
友人に確認を取った。
「そうしていいかしら」
「是非来て」
「それではね」
こう話してだった。
夫婦で車で施設に行くことになった、妻は助手席から運転している夫に顔を向けて優しい顔と声で尋ねた。
「楽しみかしら」
「いや、別に」
「嘘、泣いているわよ」
夫の目を見ればそうだった。
「嬉し涙ね、大好きな犬を家族に迎えられるから」
「だから別に」
「隠さなくていいわ、夫婦だから」
夫に微笑んで告げた。
「それに最初からわかっているから」
「そうなのか?」
「ええ、そうよ」
こうしたやり取りをしつつだった。
夫婦で施設に向かった、そのうえで施設に到着して犬が車での間夫はずっと待ち遠しい感じであった。
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