剃ってしまえばいい

　　　　　　　　　　　　　　　　剃ってしまえばいい
　星間国家連合の不良学生の髪形はモヒカンや辮髪、ちょん髷といったものだ。どの髪形も剃るのだが。
　その剃ることについてだ、パラグアイの不良高校生ホセ＝ミゲロ褐色の肌に癖のある金髪に黒い目の一九〇位の背の太った身体を持つ彼は言った。
「今は毛生え薬あるけれどな」
「おい、お前禿げてないだろ」
　いつもつるんでいる友人のカルロ＝ポンスミゲロより数センチ高く痩せて青い目と赤髪に黄色い肌の彼はすぐに突っ込みを入れた、彼は辮髪でミゲロはモヒカンだ。
「別にな」
「そうだけれどな」
　ミゲロ自身もそれはと認めた。
「俺もな、けれどな」
「それでもか」
「ああ、剃ったらな」
「モヒカンも辮髪も剃るからな」
「禿げてもわからないな」
「そうだな」
　ポンスもその通りだと答えた。
「確かにな」
「まあモヒカンだと前がなくなったらな」　
　髪の毛がというのだ。
「恰好悪いけれどこめかみからきたらな」
「モヒカンでもいいな」
「辮髪だとつむじのところが禿げないとな」
　そうならなければというのだ。
「いいしな」
「そうだな、禿げてもな」
「問題にならないな」
「ちょん髷だってな」
　ポンスはこの髪形でもと話した。
「前から来てもな」
「あの髪形も剃るからな」
「問題ないな」
「そう思うと不良の髪形っていいな」
「禿げる分にはな」
「ああ、十代で禿げるのは滅多にないけれどな」
「今は毛生え薬あるしな」
　この薬がというのだ。
「有り難いことに」
「それでもな」
　そうであってもというのだ。
「やっぱりな」
「剃ったらいいな」
「禿げてもな」
「そうだな、それも手だな」
「ああ、それで昔の人はな」
　ミゲルはさらに話した。
「そうした髪形の国や部族はな」
「禿げても問題なかったな」
「そうだよな、下手に髪があるとな」
　そうであるならというのだ。
「禿げは目立つけれどな」
「剃ったらいいな」
「それだとな」　
　髪の毛についてこんな話をした、そしてだった。
　ミゲルは家は仏教の寺でしかも剃る宗派だった、その為に。
　高校を卒業すると不良を卒業してだった、大学で仏教を学びそのうえで寺を継ぐ修行に入ってだった。
　髪の毛も剃った、それでだった。
　サラリーマンになったポンスと高校の同窓会で再会した時にだ、彼に言われた。
「目立たないな」
「禿げてもだよな」
「ああ、剃ってな」　
　髪の毛をというのだ。
「つるつるだからな」
「実はな」
　タイ仏教の僧侶の服装でだ、ミゲルは笑って話した。